彼岸の曼珠沙華(彼岸花)のほとんどは未だつぼみ

例年の秋の彼岸頃の季節になると、妖艶な真紅の花を咲かせる曼珠沙華(別名・彼岸花)。埼玉県日高市高麗の「巾着田」を取り巻く地域には、100万本もの曼珠沙華が一帯に咲き誇り、その勇姿を人々の目に焼き付けているのだが、今年はなんだかとても変てこりんな感じなのである。

その開花状況が、例年のペースには極めて遅れをとっており、未だに清楚なつぼみのままの姿のままだ。清楚なままなのはまだ良いが、咲くことさえ諦めかけてそっぽを向くようなものまで現出しつつある。こから栄華な華を咲き誇させるべきという志さえ削がれた様な、熱意や気配さえ感じさせようともせずに佇んでいる。今週頭の連休時に足を運んだ大勢の観光客も、なんだか肩透かしを食らってしまった。

そんな開花遅れの最大の要因は、誰もが異常気象だと語る本年の猛暑であり、それに加えて降雨が極度に少なかったことによっている。専門家意見によれば、10日程度は遅れるだろうという見通しだ。

高麗の「巾着田曼珠沙華祭り」は9月15日~30日までの2週間を予定しているのだが、今年はその期間が10月にまでずれ込んでしまう可能性が生じている。開花のピークが10月にまでずれ込んでしまうことも容易に予想されているところだ。祭り主催者側としても踏んだり蹴ったりの状況が続いているのだ。

巾着田を一巡してみると、やはりこの時代においても時期外れといった、平均的では無く勇み足駆け足するせっかちな曼珠沙華の姿を目にすることができた。周囲につぼみのまま開かない者たちを尻目にしながら、せっかち曼珠沙華の姿は潔かった。決して華やかでも無く痛々しいくらいの、云わば「空気を読まない」ものたちの姿を見て取るような気がしたものである。痩せ細って咲き誇っているような姿を目にしつつ、やはり生き物はこうありたいという気持ちを新たにしたのでありました。