寒い夜には身を縮める、そんなチューリップの姿に自然の趣を感じ取るのだ

立派な花を咲かせた庭のチューリップが、花弁を散らすのが今から忍ばれてならないのだが、それでもまだ一向に枯れ散る気配などは無い。そして夜のチューリップはといえば、昼間とはまた違った姿かたちを見せていた。

最初に花弁を開いた黄色のチューリップは、前から開きすぎだという印象を抱かせておったのだが、夜になれば夜露を忍ぶ為の、花弁を閉じて身を縮める仕草などを行っているのを目にしたのだった。

呼吸をしているのと同様の、生命の営みを感じ取った。やはりチューリップもまた自然界の生き物である。立派な花を咲かせる陰には涙ぐましくも慎ましやかな行為が隠されていたのである。