小林活夫ギャラリー

「小林活夫ギャラリー」では、アーティスト・小林活夫の美術作品を、ネットギャラリーとして公開しています。

里の精

キャンバスにアクリル他ミクストメディア F50号

2019年5月に東京都美術館で開催された「第8回東京自由美術展」に出展した作品です。

何故、精霊たちを描くのですか? と、よく聞かれます。

そもそも精霊という存在は、非日常の存在であり、一般社会に於いては存在すらしないものとされている。いわば爪弾きにされているようなのだが、その存在感は半端なく巨きいのである。彼等は、いったい何処を本拠地として活動しているのか? まずそんなところから考察し探っていくと、所謂日常性とは異なる、別格の存在場所があることを突き止めていた。其処は、彼等が活動する本拠地であるとともに、まさに別格であり、無比無双の棲息の地であった。彼等が棲む場所の条件を、あえて一言で表わすとするならば、それは「無為の自然界」である。無為自然界にはあまり人間が近づかず、日本の様々な精霊や妖怪たちにとっての憩いの場となっている。妖怪たちが精気を養い霊気を奮い起こすためのパワーは、やはり無為自然界でしか産むことができ得ない。それは必須であり特別な条件である。浅薄で不毛の行為にうつつを抜かす人間たちを嘲笑うかのように、人間界からは距離をおいて、精霊たちは霊気を養い宿しつつ、活動の原資とするのである。霊峰、聖地だとかの呼び名で示される特別な場所には、彼等が棲息するための磁場が存在している。無為自然界が遠ざかれば遠ざかるほど、私はその地を益々強く希求する。ただ追い求めるのではなく、その世界に棲む生き物たちの存在を描きたくなる。精霊たち、妖怪たちが日常から遠ざかれば遠ざかるほど、彼等を希求する気持ちは益々高まるのである。

Posted in KatsuoGallery by katsuo on 12月 10th, 2022 at 11:17 AM.

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