村上春樹「一人称単数」

若干、解り難いタイトルの、村上春樹の新作。連作小説集である。

まずはタイトル「一人称単数」について。

「一人称」というのは自分、イコール私のことであるので、私小説の一種なのであろうと想像される。かつ、単数というのは、一つ、一人のことであるから、この世で一人の自分、つまり自分自身がテーマの掌作品集ということなのであろう。春樹先生の私小説か?! この様な個人的興味、関心等がきっかけで、少し前から村上春樹の連作集「一人称単数」を読んでいたのです。

私小説というのは、太宰治、坂口安吾、等々の巨匠たちが確立した文学界における大きなジャンルであり、もしや村上春樹先生も、このジャンルに果敢に踏み込んで、新たな文学的橋頭堡を築こうとしているのではないか? ここにきて、ノーベル文学賞を本気で取りにきたのではないか?

そんなことから実際に読前はといえば、とても期待感満載であったのですが、読後は、とっても期待外れな気分なのです。嗚呼、なんだこの、絶望感は?

よく云われる村上春樹作品に特有な、あざとさ、わざとさ、かっこつけさ、等々が満載なのです。ここへきて、ノーベル文学賞がかかっているこの時期に、こんな薄っぺらい物語集を発表してどうなるのか! といった思いばかりが膨らんでしまうのです。

登場する女性たちは、特別な美女を除いて、適当な外観で世の中を彷徨うようなかっこうに思われます。外観が美麗かブスか、等々を示すことにより、彼女たちの存在感が毀損されていくのではないかという危惧を、感じざるを得ないのです。

これって、村上春樹先生は八方美人なのではないのか? そんな、単純な、素朴な疑問が、ふつふつと湧き上がってくるのです。まさか?!

村上春樹先生がノーベル文学賞を目指しているのであれば、これからも瑣末な事象にとらわれることなく邁進してほしいという愛読者たちの思いを踏み躙ってはいけないのです。このことを、このブログで発信していきたいと思います。

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