妖かしの里

キャンバスにアクリル他ミクスドメディア F10号

田舎暮らしを始めて半年以上が過ぎました。出会いと発見を求めて里山を散策する機会が増えているこの頃なのです。

散策といっても都会のそれとは異なって、急峻な坂道やら、か細い獣道やら、あるいは地下から湧出して流れる水の川道だったりに、感銘を受け取っているのを感じ取るので、やはり田舎暮らしはやめられないのです。

ふとしているときには里山の息遣いを感じる時間に包まれます。それはきっと、様々な霊魂や鳥たち昆虫たちの息遣いにちがいないのだろうと思うのであります。歩くことは身体の健康にとって良いばかりではなく、様々な世界のいのちとの交流なのだと感じている昨今です。

身近な里山をモチーフに描いた作品は、当初の「豊穣シリーズ」から「怪かしシリーズ」へと、少々視点を変えて連作しています。妖怪たちに出会うことを想像しながら里山巡りを行なうのもなかなか愉しいものです。

都会の喧騒から発せられる叫びがムンクの叫びならば、こんな田舎の長閑な環境から発せられるのは、ムンクの叫びとは一味違っているものだと思います。

ムンクは偉大なアーティストで僕も尊敬していますが、都会派の作家であることから、少々異なったテーマなのかと思います。

日本の作家に例えるならば、都会派の太宰治さんの強烈な叫びに対して、吉本ばななさんの緩やかな世界観が当てはまるのではないかと思っているのです。