人間の社会には「綺麗な薔薇には棘がある」などということわざ、格言がある。美しいもの、魅惑的なもの、蠱惑的な存在、等々には、決して近付いたりしてはならないという、所謂ひとつの戒めを示しているのである。だが実際に、現実的に、綺麗な薔薇を見て、それに接していながら、みすみす引き下がってしまっている人間は、まるで人生を引退しているか? あるいは人生の魅惑的な真実に対して全く関心のない不具者であるのか? 等々の憶測を抱かれることは必須である。綺麗な薔薇に対してアプローチすることは、現代に生きる人間にとっても大切なことである。
そんなこんなの思いを胸に抱きつつ、綺麗な薔薇たちを描き続けているのである。