生シラスを食して考える、海洋国家日本の行末について

某居酒屋にて生シラスを食する機会を持った。シラスとは魚の稚魚を指して云うが、流通されて食卓に上るのはほとんどが鰯の稚魚である。駿河湾や湘南地域ではよく採られるものであり、殊に江ノ島近辺では地域の名物料理として有名である。それらの地方に行った際には極力、地域のシラス料理を探して食している。おいらの大好きな食材の一つとなっている。

東京近辺の料理屋等では主に「釜茹で」として調理されたものが提供されている。それを乾燥されたものが「ちりめん」であり、保存食としてポピュラーなものとなっている。関東では「シラス干」とも呼ばれている。そして近頃はたまに「生シラス」も目に付くようになった。どれもが御飯と一緒に醤油などを垂らして頬張れば、得も云われぬ味わいなり候。

未発達の骨が丸ごと食べられ、カルシウムの補給にうってつけであるとされている。骨粗鬆症を患う母親には、ことある度にこのシラスを勧めたりもする。天然のカルシウムを摂取するにこれほど適したものはないと思われるからだ。

海洋資源が豊富だとされていた我が国ではあるが、そんなこんなは過去の記憶になりつつあるのだろう。網にかかった稚魚をこれでもかと漁するやり方は考え直さなくてはならないのではないか? 稚魚に関する新しい漁獲量等の取り決めが必要になってくるのではないか? これからはシラスに限らず、海洋からの恵みを乱獲などすることなしに、海洋の恵みに対して謙虚に接していくことが大切だと思われる。シラス、鰯、等々のポピュラーな魚たちに対して、感謝の意識を持ち続けることが、これからの日本の食生活にとって極めて大切なことなのだろうと考えたのでした。