野菜と鶏肉の旨みが凝縮のタジン鍋料理

北アフリカのモロッコが発祥とされる「タジン鍋」。前々から興味があったが購入するのはためらっていたのだが、この程外食にてこのタジン鍋を味わうことが出来た。

上にかぶせる、とんがりハットのような独特の蓋が特徴的だが、これには形のユニークさばかりでなく、トロッコならではの伝統料理の理由がある。細くなった蓋の上部には素材から滲み出た水分が水蒸気となって充満しやがて滴り落ちた水分が容器の隙間をふさぐので、鍋の中が密封状態となる。肉や野菜類の香り、栄養素を閉じ込めるという、とても意義深い鍋なのだ。

出てきた料理は、鶏肉にキャベツ、人参、玉葱等々の野菜を入れて、少量の水を加えて蒸し焼きにすしたものだ。水を使わずに野菜の水分だけで調理する方法もあるようだが、多少の水を加えたほうが、味はマイルドになる。鶏肉と野菜から滲み出た出汁で味付けは充分だが、今回の料理にはここにユズ胡椒が添えられていて、ピリッとアクセントが効いていた。

旬の野菜や新鮮な肉類があればそれだけで立派な料理に仕上がるのだから、タジン鍋料理というのは道理に適った、非常に奥深いものがあるのである。

機会があったら調理器具売り場などで探してみたくなった。先日は書店で「シリコンタジン鍋」なるものを発見。電子レンジ料理専用だと云う。中身が見て触れたので早速手にしたところ、ぐにゃっという感触が何とも頼りなく、いただけなく、違和感の賜物だった。やはり鍋と云うからには硬くてしっかりした素材のものが欲しいものだ。