奥飛騨の「新穂高ロープウェイ」で雲上散策

奥飛騨温泉郷を旅しているおいらは、第1、第2の「新穂高ロープウェイ」で西穂高へと雲上スリップ、まるで雲上散策のような格別なる経験を味わったので紹介しておきます。

奥飛騨温泉から「新穂高ロープウェイ」に乗って、西穂高の眺望を目指していた。第1ロープウェイは新穂高温泉駅から鍋平原駅までの中距離飛行で時間にすると4分程度。そこから数分歩いて第2ロープウェイ駅始発の「しらかば平駅」へ向かう。続けて「西穂高」駅行きの第2ロープウェイに、7分程度の乗車をしたのだ。これが雲上散策の始まり。

雲の中を抜けて標高2156mの終着点駅に到着した。ここ西穂高駅展望台からの眺望は、かの「ミシュラングリーンガイドジャパン」にも2つ星として掲載されており、国際的にも著名な眺望となっている。だが本日は冬日である。宿の主人はおいらがロープウェイに乗ることを告げるや否や「今日は何も見えませんよ…」と、とても事務的な口調で告げたものだった。何度も訊ねて勝手知っている場所へのコメントなのだろうが、遠くからの来客への期待感をも殺ぐような発言には些かむっとしていた。

東洋最大級だというこのロープウェイの、2階建てのロープウェイに乗車する。乗車定員はなんと120名という超ビッグサイズだ。シーズンオフの今日は巨大な社内に1、2階にそれぞれ10名弱程度だったので、右に左に前に後ろへと移動して写真撮影に集中することができた。だが急勾配のロープに引っ張られて上がるときは、些か足元もがくがくとしていたようだ寒気で揺れる車内で、はじめは、特に登りの7分間は足がすくんでしまった。途中では日本カモシカの姿をキャッチし、同乗していた客たちと確認しあっていたときも、カメラを構える姿が遅くしかもがくがくであったので、決定的シャッターチャンスを撮り逃してしまったのだ。残念至極なり。

その後は眼下に北アルプス山脈の足場を俯瞰しながらいた。所謂樹氷の姿がワイルドに視界に突き刺さってきた。もうすこしすると視界は白い雲に覆われてきていた。水蒸気の塊としての雲の中に入り込んでいたのだ。雲上の散策に相応しい光景ではある。

頂上駅付近の気温はマイナス14度とアナウンスされていた。都会暮らしではあり得ない環境ではある。防寒には気を使ったが、それでも不安は残る。実際に頂上駅に降り立ったときから少しずつ寒さが下半身を直撃していたようであり、下山後は下痢を生じてしまっていた。山頂駅近くの歩道を歩いているときにすれ違った家族の3~4歳の少女はしきりに泣きじゃくっていたのであり、それをあやす若き夫婦は必死の形相をしていた。大人は耐えても幼少の子供にはきつかったのであろう。