婚活毒女こと木嶋佳苗被告裁判に関する一考察(1)

婚活詐欺師であり、3人の男の殺人罪で起訴されている木嶋佳苗の裁判が、稀に見る百日裁判となって、マスコミ媒体を賑わせていたが、興味関心の焦点はすでにそこにはなく、木嶋被告と殺害された男性達との関係に移っていると云えよう。

3名もの男性が毒女の歯牙にかかったのは、警察の初動捜査の見込み違い、怠慢だ、と云った見解が一般的である。男性達を殺害する以前に、睡眠薬で数度と眠らされて身の危険を感じ、警察に出頭した人物が少なからず居たにもかかわらず、警察が「事件性無し」として黙殺していたと云う事実、或は殺害されたことが明白である被害者の司法解剖を行なわなかったことなどが、警察への信頼喪失に拍車を掛けている。

だが最も注目すべきポイントはと云えば、毒牙にかけられた男性達が、何故ゆえに被害を防げなかったのか? 決して美人でも魅力的でもない、いわば整形不細工女に対して、あれほどに無防備になっていたのか? 毒牙を仕掛けた女が悪いのか、或はみすみすとしてそんな毒牙に掛かった男が悪いのか――と云うポイントにこそ、興味関心のスポットは集中的に当てられているのであろう。

「週刊朝日」誌上で「北原みのりの100日裁判傍聴記」を公開している北原氏によれば、殺害された男達は「馬車に乗った姫」を夢見たのではないか? という一面があり、しかも男達の「落ち度」に言及してこう書いている。

(引用開始)―――――
まるで何も感じないかのように、次々に男たちから金を引き出す佳苗。頭がフラフラになりながら、田舎に帰ろうと首都高を歩いてしまったM氏や、1泊10万円のリッツ・カールトンをプレゼンするK氏ら、騙された男性たちはピュアだ、気の毒だ、という声もある。確かに気の毒ではあるが、私には公判が始まって以来、頭のどこかで考えてしまうことがある。
もしこれが男女逆だったら? 考えても仕方ない前提が、何度も頭に浮かぶ。初対面の男とホテルに行く女性や、男の家にすぐあがる女性や、婚活サイトで男を探す女に、世間は“ピュア”と言うだろうか。ラブホテルで睡眠薬を飲まされた女を“純情”と言うだろうか。「被害者にも落ち度があった」という聞き慣れた声がもっと飛び交うんじゃないか。女と男の非対称性に改めて気づかされる。私は佳苗に、いつも何か、気づかされる。
(引用終了)―――――

けだし当然の指摘である。男性の「落ち度」は滑稽なくらいに馬鹿馬鹿しさを増している。毒女の蔓延する土壌が開墾されつつあるのである。(この稿は続く)