奥野ビルに異変勃発なり

ビル内にはしっかりした石材が使用されている。

ビル内にはしっかりした石材が使用されている。

寒気が肌身にしみる季節ほど、散歩は欠かせない。今日もまたいつもの銀ブラコースを巡りながら、銀座一丁目の奥野ビルへと辿り着いたのでありました。今日はいつもとは逆に、階段を登るルートをとってみました。実はこのビルには、左右を隔てて二つの階段ルートが設けられている。それほど大きなビルとは云えないのに、この二つ階段はある種の贅沢品でもある。逆に辿ったと思い込んだビルの隅々に未だ足を運んだことのないスポットが幾つも存在していたことに、今更ながら気づいたのである。

それにしても今日のビル内は人だかりがしていた。ビル内の住人や関係者であればおいらの嗅覚はすぐにそれと判断しつつ、外来者のマナーを示すために、プライバシーの尊重には気を遣うのであるが、今日すれ違った人々の多くが、外来者のマナーを軽んじていたのである。探索には探索のマナーがあるのにそのことを知らないものが多いのだ。とあるギャラリーで雑談していると、先週の読売新聞に当ビルの記事が掲載されたということを知らされた。

「先週新聞に載ってから、ビルを見に来るお客さんが多いんですよ。画廊を見に来るんじゃなくて、ただビルを見て楽しんでいるだけみたいな…」

慌てて調べてみたらネットにも出ていた。流石はネットに強い読売新聞である。可愛らしいイラスト入りで、銀座初心者向けの紹介記事が掲載されていた。

なかだえりの さんぽるぽ
築77年 「昭和の銀座」を今に…奥野ビル(中央区)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/sanpo/20091208-OYT8T00565.htm

記事内容は丁寧にビル内を取材した痕跡を残してあり、好感度が大である。しかれども、このような記事を見てビル内を徘徊する人種の出現には、銀座愛好家としてがっかりなのである。