お馬鹿グルメ本のとほほと僥倖

昨今のように、西欧流似非近代的グルメ本が蔓延ってくると、昨日までグルメ本で通っていた書籍類がいきなり「お馬鹿グルメ」の本に変質していたりしておりまして、おいらもいささか警戒しないではいられないのである。その際たると云いたいのが、「中央線で行く東京横断ホッピーマラソン」(大竹聡著・筑摩書房文庫)である。その本に示されているのは、ただ単にホッピーを飲んで中央線を横断しようというもので、その実態はといえば、中央線をホッピー片手にマラソンしながら走り続けるという凄いものでは毛頭無く、さらに日々刻々連続して中央線を横断するという真面目なものでもなく、しかも1日の最低限のノルマを定めることなく、ただただお馬鹿な呑み芸が披露されていくのである。まともなグルメ酒本を期待していたおいらはじめ読者にとっては、ほとほとお馬鹿な飲み芸に付き合わされる羽目になってしまうのだからたちが悪いのである。

とはいいつつも、おいらはここ数日来、この馬鹿の見本、おっと失礼変換ミスでした、「馬鹿呑み本」で紹介されていた酒場に出没したので、レポートしたいと思います。名付けて「文化人類学」ならぬ「酒飲み人類学」であります。

まずはとほほなネタから参ります。お茶の水駅を降りて辿り着いた神保町の某店舗には、自慢の一品「チリホッピー」というメニューが無かった! これはもう、あるある詐欺にも等しいのではないか! またどこにでもあるチェーン店舗など紹介するのはほとほとやめてもらいたいのである。そして僥倖と云えるのが中野の「やきや」。ひたすら焼くメニューが並んでいるのだが、これが古き良き立ち飲みの風情をかもしていてGOODである。ここならば行きつけにしたいと思えるB級名店なり。まあこのように、お馬鹿グルメ本に書かれてある本の内容は確率1~2割と考えて居たほうが宜しいようでございます。1~2割の店に当たったら僥倖と心得るべしなのです。

中野のやきやはよかった。

中野のやきやはよかった。