食べるラー油は中華料理にこそ似合うもの、ご飯にかけるものではない

一時期の異様なブームは去ってほっとしたが、「食べるラー油」なる、調味料とも、食材とも何ともいえない代物には些か参っていたのだった。

中華料理、中国料理の店に行けば、以前から其れらしき調味料は在ったのである。餃子に添える調味料の一つとして、酢や醤油と合わせてみれば、それは絶妙の味のハーモニーを奏でていたものであった。だがそんなものを後生大事にマスコミ報道に載っけてしまったが故に、異様な「食べるラー油」ブームは作り上げられたといってよい。

そもそもラー油の材料となるものは、唐辛子を筆頭にして大蒜、生姜、葱、玉葱、等々をたっぷりの胡麻油等々の食物油に入れてエキスを抽出すると云う行程を経て作られる。

言葉を換えれば胡麻油(あるいはサラダ油等を含む)にエキスや味付け等を施されたものであるからにして、これをご飯にそのまま掛けたりしたらば、ご飯に胡麻油、サラダ油を掛けて口にするのと大差無い悪しき食物摂取の連鎖が生じてしまうことになる。こんな非常識な食物摂取の連鎖は在り得無いと云うのが理性的な判断である。

つまりには、ご飯には胡麻油やサラダ油を掛けたりすることは至極邪道な食文化であると同様に、食べるラー油などというものを簡単にご飯にのせて食べたりしては、食物連鎖の異常を来たしてしまうのであり、そういうのはいけないぞということなのである。