「シイラ」という魚の握り寿司を味わったのだ

魚介居酒屋に入ると、「シイラ」という珍しい名前のメニューが飛び交っていた。「シイラの刺身」「シイラの握り」……。まさかシイラカンスではあるまいな、どんな魚なのかいな? と若いアルバイト店員に問うても、納得する答えは返ってこない。まあアルバイト店員にそれ以上の答えを期待することが間違っているのだと、とにかく注文をしてみたのである。

出てきたその「シイラ」とは、一見すると普通の白身魚のようであった。初めての体験とばかりにゆっくりと口に頬張れば、う~む、それほど個性的な味ではない。地味な白身魚の一種といった印象なのである。

そして弐口目、う~むこれは大型の魚だな、蒲鉾に利用されるものよりも脂が乗っていて、けっして悪くない味だ。意外にいけるかもしれない……、等々の思いが頭の中を駆け巡っていたのだ。

実際に調べてみたところ、「シイラ」という魚類は2mにも達する大型の温帯魚である。シーラカンスとは直接的な関係はないらしい。頭がずんぐり大きく、頭でっかちな風体が特徴的である。

日本人にとってもある程度知られたポピュラーな魚類に属すると見え、その証拠に、各地域での特別な名称、地方名が存在する。秋田地方では「シラ」と云い、千葉の地方では「シビトクライ」等とも呼ばれているそうだ。全国的によく収穫されてはいたが、あまり食文化の王道の食材とはならなかったようなのだが、しかしながらこの食材には日本人に受け入れられる魅力があると感じ取ったのである。

余談ではあるが、ハワイ等の飲食店では「シイラ」は高級魚として供されるのだという話を聞いたことがある。ネットで調べたら同様の事が書かれてあった。ハワイと日本の食文化の違いや共通点が、これによって浮かび上がってくるかもしれない。もう少し調査を進めてみることにしようと思ったのだ。