新井満著「死んだら風に生まれかわる」を読む

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都内の某TSUTAYAにて新井満氏の「死んだら風に生まれかわる」を購入した。周知のように新井氏は「宣の風になって」という曲の作詞家として一躍脚光を浴びることになった。その著者による初のエッセイ集という触れ込みでTSUTAYAに並んでいたのである。

♪ 私のお墓の前で
  泣かないでください
  そこに私はいません
  眠ってなんかいません

この大ヒット曲となった「千の風になって」を作詞(訳詩)した彼は、2003年に同タイトルの写真詩集を上梓している。それからじわじわと主に口コミで評判を呼んで、2007年の大ヒット曲となったわけである。アメリカインディアンかアポリジニかによってつくられた曲とされているのだが、このプリミティブな曲をわかりやすくしかも力強く訳し切った新井氏の手腕は見事であった。

ほどほどにエスプリの効いたエッセイが、まるで一服の清涼剤のように心地よく心に響いてくる。夫婦として、家族として、或いは他人同士として巡り合った人間との愛。はたまたそれ以上に研ぎ澄まされた熱い葛藤模様などが、よどんだ心を浄化させてくれるような一冊である。

新潟出身の著者は、同郷の名士たち―良寛、坂口安吾、田中角栄ーに対して強烈なシンパシーを抱いているようである。おいらにとっては、萩原朔太郎、福田赳夫、国定忠治といった面々が思い浮かぶが、朔太郎さんを除いてはそれほどに深い思い入れはない。この違いについては後日自己分析とともに解明していきたいと考えているのである。