沼田まほかるさんの「痺れる」を読んだ

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2011年に発表された「ユリゴコロ」では第14回大藪春彦賞を受賞し、本屋大賞にもノミネートされるなど、出版業界関係者に注目された沼田まほかるさんの短編集「痺れる」を読んだ。2013年版「この文庫がすごい!」(宝島社)では第4位にランクされたという。目利きの本読みたちからの熱い支持が寄せられているということでもあり、ミステリーの愛好家にとっては特別に注目の的となった一冊となっているのである。

作家のまほかるさんは主婦、僧侶、実業家、等々の経歴を経て作家となったという異色の成り立ちから注目されることも多いようだが、この短編集「痺れる」では、そんな悠長な判断基準はうっちゃっていて、一人前の作家として認められる以前の作品集の数々の、まさにまほかるさんワールドの真髄に触れるかのごとくの発見がいっぱいなのだった。

日常的にはあまり取り上げたくないような、人間存在の闇の部分を作品上のテーマとして浮かび上がられて行くような作品の数々。病んで、汚れて、膿をもつ精神の禍々しさを摘出していくような短編集の存在は、一般的な読者にとっては禍々しいものと写っているのに違いないのだが、まほかるさんマニアやその他の人々にとっては、拝すべき作品集となっているのかも知れない。