新宿区下落合界隈の「佐伯祐三アトリエ記念館」を探索

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西武新宿駅から西武新宿線に乗り、「下落合」駅にて下車すると、近辺には佐伯祐三や中村彝といった天才画家たちの記念館が散在しているのに出くわすのだ。

先ずは下落合駅から北に徒歩で10分くらい進んだところにある「佐伯祐三アトリエ記念館」を目指した。左に聖母病院、右に聖母大学を目にしつつ、車が入れないくらいの狭幅の小道を歩くと、行き当たった先が記念館だった。緑溢れる木々とともに白くてとがった三角屋根の木造建築が迎えてくれた。

佐伯祐三と云えば我が国の洋画界のみならず美術界の中でも数少ない天才作家であり、しかも30歳で生涯を閉じたという夭折の天才である。夭折の天才という称号は、我が国美術界においては佐伯祐三をおいてほかにはないといってよいのである。おいらの実家の押入れか物置には佐伯祐三画集が眠っていたのであり、それと同じ画集が同記念館にも鎮座されていたことがまた、この記念館に対する親近感をいやがおうにも高めていた。

かつてはアトリエであったという部屋に足を踏み入れると「下落合風景」という作品が在った。佐伯祐三さん自筆による、レプリカではない本物であり、おそらくは同記念館での唯一の本物作品であった。荒々しくかつ繊細なタッチで描かれた風景画は、戦前における同記念館の周囲の有り様を描いており、フランスのパリを描いた風景画を超えるくらいに親近感を感じさせるのであり、画家の天才的筆致に瞠目させるにあまりある。

洋風のアトリエの北側には採光のために、大きな窓ガラスでおおわれており、豊かな北向きの陽光をアトリエに注いでいる。古き良き時代のアトリエの姿を彷彿とさせ、そのデザインがまた佐伯祐三さん流のオリジナリティーを感じさせている。

■佐伯祐三アトリエ記念館
東京都新宿区中落合2-4-21
TEL 03-5988-0091
休刊日 月曜日(休日にあたる時はその翌日)