宙を舞う

キャンバスにミクストメディア F10号

少年の頃にはよく、宙を舞ってあれこれを探検する夢を視ていたものでありました。だが大人になればそんな夢をとんと視なくなってしまった。宙を舞うという行為は、ある種の全能感にも繋がるのであり、少年の頃に夢見た全能感を、いつの間にか諦めてしまった、そんな象徴的な事柄なのかも知れない。

ともあれ今尚、宙を舞うことに憧れ続けていることは変わりがない。どんなに齢を重ねても、宙を舞う願いを抱きつつ、生活を、制作を続けているのです。

歌姫

キャンバスにミクストメディア F4号

往年の歌姫といえば、中森明菜がまずは浮かぶ。近頃のコンサート会場にうん十年ぶりに歌唱復帰したというニュースも目にしており、本格復帰を望んでいるのは僕一人ではなかろう。何しろ昨今のガキンチョシンガーには成し得ない叙情性やアピール性の高さは、目を耳を見張るばかりであります。

僕の個人的な趣味嗜好を述べるならば、往年のとみたゆう子さんにもガキンチョシンガーには無い、叙情性があり、歌姫の名に相応しいと思うのであります。

羽根を持つ天女

キャンバスにミクストメディア F4号

翻ってみれば、近頃は人物画を描くことが減っているなと、自覚があり、そんなこんなのジレンマも相まって、人物画風の作品に着手しています。その第一弾がこれ。

題して「羽根を持つ天女」とタイトルを付けてみました。モデルの天女が持っている背中の羽根は、鳥の羽根というよりもむしろ蝶々の羽根に近いものであります。鳥類ほどには勢いのある飛行は出来ないが、それを補うに足る蝶々の飛行とは、意表を付くほどの優雅な飛行である。いつかきっと芸術的な舞いを見せてくれるだろう。羽根を持つ天女が舞った姿を、いつか何時か描いてご披露するので、お楽しみに。

清浄の里

キャンバスにミクストメディア F30号

信州の旅を終えて数日間、近作に手を加えていた。旅の道中で目にした景色、とりわけ流れる水の清澄さが胸を捉えて、近作の中にもその要素をより一層的に、特化して表現したいと思ったからである。流れる水と、心地よい風の調べは、やはり旅という体験の中で深まっていったのだと想うのである。