地元の居酒屋で変り種の「鶏皮餃子」というメニューを食したのだった。メニュー表を一見したところでは「鶏の手羽餃子」なのだろうと早合点していたのだが、よく見たところ手羽餃子ではない。手羽餃子はある種ポピュラーなメニューになりつつあるが、おいらはこれが中々合点がいかぬ、邪道的メニューとして捉えているところなのだ。それにひきかえ出されていた「鶏皮餃子」は多分はじめて食する代物だったが、当初の予想以上に美味しくいただいたのである。先ずとりあえずは口にしたところ、照りの利いた鶏皮の食感は、コラーゲン的潤いを彷彿とさせる味わいなのであり、軽く噛み切れるほどの弾力がナイスである。ナイスナイスを何度も口にしたくなるくらいにぐいっとくる。噛み切った奥には馴染み深い餃子のあんが待ち構えていた。
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地元の居酒屋にて旨いじゃが芋煮を喰らう
新じゃが芋の旨煮というのは崩れやすくて調理がしにくいということだが、それでも出来上がって提供された料理は、とても食欲をそそる出来栄えなのだった。「新じゃがいも」は、通常の年を通して流通されるものに比べてみれば、まずは皮が薄く柔らかく、大きさは小振りである。固い殻を纏う前の、いくぶん無防備な姿かたちを印象に写し取る。半面で見ればそれだけ瑞々しい細胞に満ちていることでもある。通年的なじゃがいもの皮はアクが強いためになかなか口にすることは難しいのだが、丸ごと調理に向き、薄皮もまた野性味溢れて味覚を刺激してしまうのだから食べない手は無いくらいなのである。皮が薄く瑞々しい新じゃがには出汁や肉の旨味が奥深くまでに染み込んでいくのであるから、通年食材としてのじゃがいもでは作れないという逸品として通用するのだ。
たくみの里「大寧寺」の紫陽花を観察
上州「たくみの里」を訪れたのだ
上州こと群馬県みなかみ町の「たくみの里」を訪れたのだった。上州の最北部に当たる地域の一帯は、おいらの母の実家が在り、おいらにとっては第二の故郷とも呼ぶべき特別な場所である。夏休みやその他定例の休暇があればよくこの場所に通っていたものである。夏休みの一時には必ず其の地に居を得ていたのだ。其れくらいにおいらと母の出身地であるたくみの里との繋がりは深いのである。当地域には20数軒の体験型の工房が点在していて、子供から大人、高齢者に至るまでの老若男女が、様々な工房にて、ものづくり体験が出来るので、今では北群馬の人気の観光エリアとなっている。母の実家の家屋では今ではおいらの従姉妹の人が営む手作り雑貨の人気店となっている。久しぶりに同店舗を訪れたのだが、丁度従姉妹の人が店案内をしてくれたり、パートナーの作家の人との昔話に花が咲いたり、第二の故郷としての実感を身に再体験するような特別な時間を過ごすことが出来たのである。日本の原風景が残る故郷の一つとしての評価も高まるたくみの里には「熊野神社」という極めて素朴な風体を漂わせる一帯がある。スラリと伸びて巨大な樹々が生い茂り、境内には澄んだ水が流れる水路が走り、幼少の頃に読んだであろうお伽噺の舞台が再現されたかの印象を抱いていた。惜しむらくは、従姉妹の経営するショップ工房を離れる時から急激なる豪雨に見舞われてしまい、宿に着いても一向に雨が上がる気配もなく、一つの目的としていたたくみの里にてのホタル観賞が出来なかったことである。時期的にも少々早かったようだが、それにしてもついさっきまでの豪雨に打たれてしまってはホタルに逢うのも不可能となってしまったのだった。
「手羽先串焼き」は鶏串焼き料理の定番であるべきである
焼き鳥が売りだという地元の居酒屋「金太郎」にて一献。焼き鳥メニューの中にある「手羽先」「トリ軟骨」そして定番の「ネギ間」を注文した。そして待つこと15分あまりで、久々の地元での焼き鳥メニューにありついたのだった。豚ではなく鶏肉の焼き鳥店としては、八王子市内のライバルにおいても一目置かれる、謂わば安定感のある定番的焼き鳥を提供するのが金太郎なのだ。
■金太郎 旭町店
東京都八王子市旭町6-12
定番のネギ間やトリ軟骨は頻繁に食べているメニューだが、「手羽先」は時々気が向いた時のみに注文するといった代物だった。然しながらに今回は特別に頼んだ「手羽先」の串焼きに夢中になってしまった。なにしろ他の鶏肉の串料理には比べようもないインパクトの鶏肉のコラーゲンが満溢しているのであり、此れをシンプルに串に刺して炭火で焼き上げて、これだけ旨味満点の料理として提供されたのだから、驚きが大きかったと云えよう。鶏肉料理の定番に手羽先串焼きを加えることを提唱したい。
ブロッコリーのきんぴらはこの季節の常備菜なのだ
ブロッコリーのきんぴらを料理を作って食した。ブロッコリーが美味しくなる季節である。通常は茹でて食べたりするのが慣わしの食材なのだが、きんぴらもまた季節感を充満させるに相応しい逸品料理なのであった。茎の部分が絶好のキンピラ食材になるのである。ビタミンB、C、カロテン、鉄分、等々の栄養素を豊富に含んだブロッコリーは、この時期が旬であり、とくに葉のついたものは国産品として流通し、人気である。蕾の塊の部分をさっと茹でればその独特の香りや触感に魅了される。食材となるのは蕾のところばかりではなく、茎の部分も栄養価が高く、捨てるにはもったいないので、おいらはこの部分をきんぴらにして食べる習慣がある。今回も蕾を調理した後の茎を用いてきんぴらにした。少々固いが食物繊維が豊富で、牛蒡とともにきんぴら料理にはもってこいの食材なのである。
地元ラーメン店の味噌ラーメンに舌鼓
日本食の「冷奴」にて一献
韓国の朝食でフレッシュな1日がスタート
1日の始まりの朝食で、日本食以外を食べる機会はあまりないが、本日は美味い韓国の朝食にありつくことが出来たのでラッキーだった。キムチに始まり韓国のり、チヂミ、ナムル、わかめスープ、等々がテーブルを敷き詰めていて、前々から韓国料理は前菜が豊富に並べられると聞いていたが、実際に目にすると流石の光景である。見目ばかりにあらず、口にすれば素朴でありながら飽きが来なくて清々しいという、食欲を増す要素が詰まった朝食だったのである。常備菜と呼ぶべき作り置きのメニューもあるが、湯気が立った温かな料理もまた提供されたのであり、キムチチゲはまさにその一品であった。大根をはじめとする野菜類が酢辛いキムチの風味で煮込まれ、朝の目覚めを心地よく刺激していたものであった。
屋久島名物の「サバ節」で酒が進むのだ
うなぎの肝焼きで暑気払い
冷たいホッピーにうなぎの肝焼きで一献。暑い日の暑気払いには、この鰻の肝に限るのである。まだまだ丑の日には程遠いのだが、経験的に「うなぎ」が夏の体力消耗に効果ありということを知っているおいらは、無意識裡にうなぎを求めていたのだろう。ところで土用の丑の日にはうなぎを食べるという習慣は、文政時代に平賀源内さんが提唱したという説が一般的だが、ただ体力の落ちる夏場に栄養補強するという意味合いばかりではなさそうなのである。かえって、夏場にはうなぎが売れない業者達の苦肉の策として、土用の丑の日が提唱されたという珍説もあるくらいであり、二百年もの時代をさかのぼって時代考証を行おうとしても無理な話であり、ここはそっと、うなぎと平賀源内さんとの個人的な相性の良さを思い浮かべてみるくらいが宜しいのだろう。
本格派ぬか漬けは胃腸も心も癒すのだ
立川「玉河」の正統派串かつにて一献
立川に立ち寄った帰りに「玉河」という居酒屋にて一献。先ずは串かつを食したのだった。此処の串かつも関東風の正統派であり、充分に旨く大阪界隈のジャンクフードの串揚げとは似て非なるものであり、堪能した。串かつのネギと豚肉のハーモニーの絶妙さを思えば串揚げなどは邪道的フードとしか思えない。おいらは串カツが大好きである。豚肉のカツと揚げられたネギの甘味と香ばしさとの調和した味わいは、串カツならではのものであり、関西的ジャンクフードこと串揚げの比ではない。串揚げには断然勝っていると云ってよいのである。かねてから思うに、串揚げを食べてもなかなか満足できないものがあったのだが、しかしながら、あえて限定すれば関東風の串カツ口にしたときの感動や満足感は、他を圧倒していたものなのである。関西ジャンクフードの限界とともに、関東圏の食文化の歴史を改めて感じ取ったという訳なのだ。そもそも関西的串揚げには無くて串カツに有るものとは何か? まずはその豚肉とネギとの相性の良さであろう。豚肉の質、ランクはそれ程良いものを求めなくても、豚カツとネギ揚げとの相性の良さで、串カツの美味さは決定付けられると云っても良い。
■玉河
東京都立川市曙町2丁目12番地19
タイ料理専門店「味庵」にて本格的「ガパオごはん」を喰らう
仕事のお昼休みに西八王子に出かけ、タイ料理専門店の「味庵」に立ち寄ったのだった。昼のランチメニューの中には「ガパオごはん」というタイ料理的定番的メニューがありひれだ食べたくなって仕方がなかったといえよう。予め注文時には、店主さんから「とても辛いですが大丈夫ですか?」という質問を受けていたが、大丈夫の一言で片付けていたことはおいらの誤りの一つだった。其れはおいらが想像していた以上に辛味がガツンとしていたのだった。ガパオの材料はといえば、豚ひき肉とタイ的野菜の他には、タイの調味料による味付けが基本である。それでも日本の野菜や肉類を使用しているので、とても日本人としては身近に感じる。「ガパオごはん」とは、ある種の日本人の外来的味覚の一つであると云えるのかも知れない
■味庵
東京都八王子市台町4-44-2
「麻婆なめこ」は吃驚の逸品なのだ
「麻婆なめこ」を作ったところがこれがびっくり! おいらの大好きな食材ことなめこを中華風に料理してみたところが、これがびっくりの逸品だったのである。おいらの好きなメニューの一つに「麻婆豆腐」が挙げられるが、今では「麻婆茄子」「麻婆春雨」など様々なバリエーションが登場している。云わば「麻婆家族」と云っていいくらいだ。ときどきおいらが具に選択するのが「なめこ」である。水煮していない生のもので、特に大ぶりなものが好ましい。つくり方としては麻婆豆腐と大きな違いは無い。少量のひき肉を炒め、生のなめこを少し火にかけ、醤油、甜麺醤、豆板醤、砂糖、酒、等の調味料で味付けをし、最後に片栗粉でとろみをつける。なめこ自体の天然とろみが効いていて食感が抜群なり。通常の半分程度の豆腐を合わせれば、味もまろやかで食べやすい。このメニューはあくまでおいらのオリジナルである。他の食堂、中華屋、等では見たことが無い。お試しあれです。
ところで一昔前には「なめこ」というのは小さくてぬめっとした感触が特徴ではあった。成長しきらない途中のぬめぬめ感を強調する様ななめこが、真空パック的な入れ物にてスーパーマーケットの食材コーナーには並んでいた。だが、近頃ではそんな昔式のなめこを横に見ながら、大きな生々しいなめこが見入られることが多くなっている。実はおいらも近頃の大きななめこが大好物なのであり、味噌汁や蕎麦の付き合わせにはかかすことが出来ないのだ。
吉祥寺「いせや本店」で串焼きとシュウマイを食らった
前橋「モモヤ」のトントンうどんは故郷の味だった
簡単に述べればトントン汁にうどんを加えたのが「トントンうどん」ということになる。お腹の減った昼食や夕食のメニューとしてもまた、逸品の料理として認定しておきたいものである。そもそもは、豚肉で町おこしをという掛け声で始まった上州前橋の料理が、トントン料理である。「トントン汁」はトントン料理を代表するメニューとして地元に浸透しつつ在る。前橋市内の名だたる料理人11人(チーム名:前橋の食を作る料理界の11人)が考案した前橋のオリジナル豚汁。その特徴とは下記の通りとされている。
1 群馬県産の豚肉と豊富な野菜を使い具だくさん。
2 きのこをバターソテーしてから入れるため、味はまろやか。
3 白と赤の合わせ味噌使用のため、コクがありちょっと洋食風。
4 〝豚のつみれ〟や〝ねじっこ〟(すいとんのようなもの)が入った昔懐かしい味。
一般的な豚汁ともけんちん汁とも違っていて、上州前橋の土着的な風土にマッチした味わいが伝わってくる。ちょいと甘辛な味がしつこくもあるが、却って土着的な特徴を際立たせているのである。ゴボウ、ジャガイモ、大根、コンニャク、等々の根菜類に厚揚げや小麦粉の練物等が加わって、食覚や味覚のバラエティーが広がっている。豚汁という地味目な料理が逸品的B級グルメとしての存在感をアピールしていることを実感させられる。やはり、上州前橋「モモヤ」のトントンうどんは故郷の味だったのである。
■パーラーレストラン モモヤ
群馬県前橋市千代田町2-12-2
茅場町「ニューカヤバ」で焼き鳥焼き体験をしながら一献
東京日本橋に近い茅場町界隈には、夕刻になると仕事を終えたサラリーマンが大勢つどるう酒場がある。その一つが立ち飲み店の「ニューカヤバ」である。此処は大勢のサラリーマンが仕事の疲れを癒す場所であるのだが、その入り口はとても分かりずらくて誰もが容易にアクセスできる場所とは云い難い。そして狭い入口をくぐって中に入れば、立ち飲み場としての熱気に圧倒されていく。基本的な酒類は自動販売機にコインを投入して入手するというすたいるである。まったく変な場所ではあるのだ。おいらはこの酒場の自販機ででホッピーの焼酎を注ぎ、つまみとして、焼き鳥とつくねを注文した。ともに1本100円とリーズナブルなり。だがそこからがこの店特有の面白いスタイル。すなわち炭火が燃える焼き場で自分で焼き鳥を焼かねばならない。否、この自分で焼くというスタイルが魅力である。焼き鳥とつくねを炭火の焼き場に乗せて、たれにつけたりひっくり返したりして待つこと10分くらいだろうか、ちょうど程よく焼けた自家製的焼き鳥を味わうこととなってしまった。思いがけない体験なのであった。
納豆オムレツは懐かしい味わい
北寄貝は日本二枚貝の王道の味わいだ
地元の居酒屋にて「北寄貝(ホッキガイ)」の刺身を食したのだった。二枚貝の中でも北国にて収穫され、かつ冬季には味覚的な旬を迎える貝類の代表が「ホッキ貝(北寄貝)」である。学術名では「姥貝(ウバガイ)」と呼ぶ稀有な貝であるという「北寄貝(ホッキガイ)」。殻は厚く堅いが中の身は赤黒い奥深い身の味わいに魅了される。主に北海道で収穫されるものが東京関東圏内にて流通しており、北国からもたらされた貴重な二枚貝と云うイメージが染み付いている。通常、寿司ねたとして見かける北寄貝は、赤と白とのツートン色が特徴的だが、刺身の北寄貝はと云えば、もっとデリケートな色合いに感動させられる。奥深い褐色系の色合いが何とも見事だ。近頃ではこのホッキ貝はフランス料理の具材としても重宝されているようだが、日本人のおいらとしてはやはり生の刺身として味わうのが一番である。通風持ちのおいらにとって、二枚貝は禁じられた食材の一つなのだが、どうしても我慢できなくなり、時々は口にしてしまう。何とも貴重な逸品食材なのである。