春を告げる鰆(サワラ)の焼霜を食す。

春の魚と書いて「鰆(サワラ)」と読ませる。読んで字の如くに「春を告げる魚」であることから名付けられたが、春には産卵のために岸辺、沿岸に近付くことから人目に付きやすく、漁獲量も増えたというだけのことであり、鰆自体の生息量が増えたりするのではない。人間様の勝手な印象にて名付けられたものである。鰆はけっこう巨大な魚であり、全長60cm以上にもなる。ちなみに60cmに満たない子供の頃を「サゴシ(40~50cm)」「ナギ(50~60cm)」などと呼ばれる。ブリと同様の出世魚なのである。

やはり春以外の季節にその姿を見ることは稀であり、刺身などにありつけたらラッキーと思うべし。巨大魚らしく皮が厚くしっかりしていて、皮面を炙って提供されることが多いのだ。メニューには「鰆の焼霜」とあった。近頃の寿司屋でもよくみられる炙りものである。口に含めば確かに焼いた鰆の皮が香ばしい。良い舌触りがなんとも云えないのである。