上州水上町の「おっきりこみ」はとても懐かしい味だった

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遅い夏休みをとって上州水上町を訪れた。JR水上駅を降り立ってすぐの前には「いわなの天ぷら」をはじめとしたいわな料理の看板があっ! と目を引く。店内を覗くと飄々とした店主らしき小父さんから「おっきりこみが美味いよ」との掛け声がかかる。いわなはおろかまだ食物にはありつけなかったのだ。気を取り直して駅から水上温泉街を散策していた。おいらが少年の頃の一時期には相当栄えた歓楽街であったが、今では其のような面影は、昔式の射的場などに微かに残すのみであり、寂れた温泉街の様相を呈している。食堂と云える店舗はラーメン店、うどん店、等々に行き違っていたが、何だか食欲が沸かないままに、温泉街を一周していたのであり、昼時には駅前の気になる店舗に舞い戻っていた。

店暖簾を潜ると本日二度目となる店主からは「おっきりこみが美味いから是非食べていって」と、いきなりのアッピール。おっきりこみ♪ のフレーズには弱いおいらは、いわなの前に上州郷土の名物「おっきりこみ」をいただくことにした。鉄鍋で煮込まれて出てきた其のおっきりこみの料理とは、ごん太い平麺のうどんがベースで、葱、南瓜、大根、牛蒡、きのこ、蒟蒻、等々の野菜類に加えて上州豚の出汁が効いた甘目の醤油味スープとも相まって、とても懐かしい味なのだ。夫々の食材が素朴に主張しており、ボリューム感も満点の味わい。似た料理に山梨の「ほうとう」があるが、上州の「おっきりこみ」の方がより素朴な郷土食だと云って良いのである。ちなみに同店の看板に在った「いわな」については、この時季は川が暑くて釣ったらすぐに死んでしまうとのことで、いわなのメニューはお休みしているとのこと。またいつか夏以外の季節に水上辺りに旅したら、いわなが食べたいという、一寸ほろ苦い思い出を温めていた。

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