色づく街の色づく公園で、南沙織を聴いたのです

この数日来の寒波襲来で、東京の街も着実に色づいてきた。近場の公園や裏山を散策するだけで紅葉の季節を実感する。東北を旅行して観た紅葉の美しさには敵わないが、それでも散策する行き先の処々で目にする、イチョウやモミジに見とれてしまうこともしばしばだ。

ビル街を通り越して公園を歩くと、どこからか「色づく街」のメロディが聴こえてきた。南沙織が1973年に歌ってヒットしていた曲だ。「17才」とともに彼女の代表的な曲として知られている。高橋真梨子、三田寛子、水野美紀、その他様々な歌手がこの曲をカバーして発表している。松田聖子がこの曲を歌ってアピールし、その後の歌唱賞を獲得したというエピソードは有名である。それにしても今なお、南沙織の楽曲が21世紀の今日に響いていようとは、発表当時の関係者の誰もが想像し得なかったことに違いないだろう。

作詞は有馬三恵子氏が手掛けている。芸能界での活躍は相当なものだが、作詞家のプロフィール、個人情報は、いまだ謎ばかりだ。名前だけの作詞家という存在があるならば、有馬三恵子氏はその筆頭とも目される。何ゆえにこれほど個人情報を秘匿するのかと、以前おいらは不思議だったが、今にして思えばこれぞ、賢い作家的戦略であったとも云えるかもしれない。

さて紅葉といえば、落葉樹が色づいた葉をその後に地面の上に落としていくのであり、そのイメージは「失恋」を連想させるのであり、必然的に失恋の楽曲へと繋がっていくのだ。南沙織が歌った「色づく街」は、まさにそのイメージを我が国の国民的感情として定着させるに値する、忘れられない名曲となった。日本人はとても失恋の歌が、詩が好きである。失恋大国日本の代表的な一曲となる可能性を秘めているのだ。

ボジョレー・ヌーヴォー&牡蠣グラタンで乾杯なのだ

昨日11/18にはボジョレー・ヌーヴォーが解禁となって、毎年ながらマスコミは大騒ぎ。今年はペットボトル入りのものも出ていることを知り、試しにそちらの方を飲んでみることにした。「PHILIPPE DE MERY」とラベルにあり、メーカーの名のようだ。つまり「ボジョレー・ヌーヴォー」は数社から販売されているということ。考えてみれば当然だが、これだけ世界のブランドとしてアピールするための、国家挙げての協同戦略が存在するということ。

ボジョレーとはそもそも、フランス・ブルゴーニュ地方の一地域を指している。其処で採取され生産された新しい(ヌーボー)ワインという定義なのだから、それ自体曖昧糢糊としており、その曖昧さが世界的ブランド力の背景として存在する。毎年大騒ぎされるのも、それだけ枯渇することのない豊富なネタに依っている。

特別な原料(ガメ種またはガメイ種と呼ばれる品種のぶどう)を用いて特別な製法に依ることなど、定義が煩雑だということ以上に、毎年ぶくぶくと湧き水のように量産される話題性こそが、世界的ブランドを支えているということなのだ。

ワインと呼ばれる飲み物の中ではとりわけフルーティーで、強い酸味が口腔を刺激する。余計なコメントだが「赤玉ポートワイン」とは大違いだ。アルコールの匂いが少ない分、フレッシュな葡萄酒の様にあとを引く。明日の宿酔いが心配だ。

特別なワインのつまみに選んだのは、牡蠣のグラタン。最近牡蠣グラタンのことばかり書いているような気がするが、今日ばかりは外せない。マクロビオティックの健康料理とは矛盾するが、「海のミルク」等と呼ばれ、ミルクとチーズのソースで焼き上げる料理は、ワインにはピタリンコの相性なのだ。解禁日1日遅れの乾杯の気分なのです。

マクロビオティック料理の基本【2】切干大根の煮物と酢の物

日本が世界に誇るマクロビオティックの料理には、切干大根メニューもよく使われる。切干大根はこの時期に収穫された旬の大根を細切りにして、通常は、天日干してつくられる。中には工場で機械的乾燥をさせたものもあるが、やはり切干大根の基本は、天日干しにより太陽の恵みをしっかり吸収させたものでなくてはならない。秋の季節の乾物の代表であり、寒くなるこれからの季節には欠かせない。

生の大根料理はそれ自体が味わい深いが、天日干しして乾燥させた切干大根は、日光を浴びることによりさらに、カルシウム、食物繊維等の栄養素を増していく。そうした貴重な食材を水で戻して調理する。これぞ、日本が世界に誇るべき健康料理の真髄である。日本料理が「生」を基本としているといった偏った理解が、一部海外で定着しつつあるが、実際は貴重な旬の食材に干したり戻したりという手間をかけて、本来の日本的料理が成り立っている。このことをこれから世界にアピールしていく必要が在りそうだ。

我が家で日常的に調理しているのは「煮物」だが、時々「酢の物」にも手を出している。大ぶりにカットして干された「割り干し大根」を使うと、大根のツーンとした野生の香りを味わえるので、ことのほかに注目してしまい、近頃は嵌まりかけている。マイブームにもなろうかという特別なメニューなり。

この他にも、味噌汁の具に用いたり、サラダに応用したりと、すでに様々なメニューが浸透しているようだ。もっともっとこの切干大根のメニューの可能性を追求していきたいなどと思案しているところなり。

マクロビオティック料理の基本【1】ひじきと大豆の煮物

「ひじきと大豆の煮物」を調理した。月に数回は調理する我が家の日常食の定番メニューの一つだ。古くからの日本の食材「ひじき」だが、実はこれこそ日本が誇る長寿食の中心に置くべき貴重な一品と云うべきなのだ。我が国では国内のほぼ全域で採取されるが、国外では中国および朝鮮半島の一部でしか棲息しない。しかも日常食として浸透しているのは、日本のみだと云ってよい。

これらの日本の伝統食の素晴らしさを世界に広めたのが、桜沢如一氏らによる「マクロビオティック」の食養生の思想である。欧州や米国の著名人たちが信仰している「マクロビオティック」という思想は、世界大戦以前に桜沢氏らによって広められた運動が基本となっているものだ。

マクロビ思想によると、毎日の献立の中で「豆類、海藻類」を5~10%摂取することとされている。「ひじきと大豆の煮物」のようなメニューを、1割は摂りなさいと云うのが基本である。

これらに関する思想や経緯の解説については、「マクロビオティック 生食の心得」(秀和システム刊)にて詳述されている。著者は福山さきさん。おいらが企画、編集を担当して出版された一冊だ。手前味噌だが、マクロビオティック思想の基本から背景、実践法が極めて判りやすく解説されている。説明図やイラスト等も豊富であり、直感的にマクロビオティックの全貌を捉えることができる書籍なのだ。多くの人に手に取っていただきたい。

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さて、改めてひじきの健康要素を見てみた。食物繊維、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB群、等々の栄養素が豊富であり、これにしか含まれないものも少なくない。栄養過多と云われる現代人の多くが、ひじきに含まれる必須栄養素の何かが不足しているのだろうという疑いは拭えないのだ。

ひじき、大豆以外のあわせものとしては、油揚げ、蓮根、人参、竹輪、等々バリエーション豊富だが、やはり基本はひじきと大豆。これを基本のベースとするべしなのだ。

「日本ひじき協議会」のホームページでは、骨粗鬆症、高脂血症、高血圧、等の予防効果もPRされている。参照されたし。

http://www.hijiki.org/

冬の味覚「ぶり刺し」と「ぶり大根」

今年一番の寒波で12月並の寒さだという今日は、久しぶりにぶりが食べたくなった。ぶりとはスズキ目アジ科に分類され、青魚のファミリーでありながら青臭さが全くなくて、愛好者も多いと聞く。青々として鮮やかな紺碧の背中と腹とを分けるかのように、緑色したラインが目を引く。今からまさにぶりの季節なり。以前にも書いたが、出世魚のぶり(鰤)に脂が乗る冬の季節が食べごろである。

ぶり刺し
白く脂の乗った刺身の色が、この季節ならではである。築地の市場ではこれからの時期に取引が頻繁になる。大ぶりでありながらしっかりと味が乗ったぶりの姿は厳かにも見える。

ぶり大根
ぶりのアラを大根と一緒に煮込むという、素朴な煮込み料理。丁度この頃からのぶりは煮込み料理に適しているのみならず、その旨みを大根が吸収して得も云われぬコンビネーションを発揮する。普通は醤油味で煮込むが、薄味でありながらしっかりと色付いた大根の色味が旨いぶり大根のポイントだ。

馬肉を味わえる居酒屋「馬肉酒場 おや!馬っ鹿」

馬肉というものは中々目にし味わうことが少ないが、そんな馬肉を手軽に味わえる居酒屋を発見。「馬肉酒場 おや!馬っ鹿」では、馬肉の刺身(メニューには6種類ある)や鉄板焼、鍋物などの豊富なメニューが売りである。

赤身馬肉の刺身
馬肉といえば一般的に「刺身」で味わうものとされている。そんな要望に応えるメニューだ。新鮮な馬肉の赤身は柔らかく味わいも濃厚である。これぞ馬肉料理の基本なり。

くらしたの鉄板焼
マスターに「おすすめ料理は?」と聞いて返ってきたのがこのメニュー。「くらした」とは馬の肩ロースの部分を指しており、一番馬らしい部位であるということだ。味わってみれば確かに、馬本来の筋肉質のギュッと締まった肉質が充分に味わえる。

ホルモンの鉄板焼
こちらも馬の腸の部位であり、馬料理の本場信州では「おだぐり」と呼ばれている。これは信州の一部(全般ではない)では、郷土の定番料理ともされているらしい。

■馬肉酒場 おや!馬っ鹿
東京都八王子市東町1-7
℡ 042-643-1728

がっつり系肉食女子のメッカ、大井町界隈

品川区の一角に位置する「大井町」界隈は、がっつり系のいわゆる肉食女子が屯するメッカとして注目が高まっている。駅に近い横町の路地には、焼鳥、唐揚げ、焼肉、その他様々な肉食系メニューを提供する飲食店がしのぎをけずる。一見して中高年の屯する界隈なのだが、この一帯に、うら若き女子などの姿を多く見かける。そんなことからなのか、大井町は「肉食系女子」のメッカなどとも評価されているのだ。

「品川」駅の隣駅、京浜東北線の「大井町」は品川という都心にありながら、山手線から外れていることから、都心に近くて尚かつ住みやすいというベッドタウン的な街でもある。都心にこれだけ近くて尚、地域住民の生活の匂いを醸している。この特異性が現在の大井町の特徴であると云ってよい。

大井町で働くOLが日々の疲れを癒す場所であると共に、都心で働く女性たちが宵の浅い時間にこの街に帰ってきて、一杯傾けている。行く人来る人が交錯する様を、目にすることができる特異な街なのだ。

駅から2~3分歩いたところに「肉のまえかわ」という立ち飲み居酒屋が在る。もとは焼肉店だったものを現在の立ち飲み屋に改装したのだという。「串かつ110円」「コロッケ70円」「串焼き100円」等々のメニューが並んでいる。鮭とつまみを味わいながら、いわば地域の社交場のような光景が展開されている。この社交界に、老若の女子がとても重要な地位を占めている。彼女なくしてはこの社交場の風景が成り立たないと云える位に、彼女たちの存在感が強いのだ。

「肉のまえかわ」の手前の路地を折れて曲がり、歩いていくと、「東小路飲食店街」というディープな裏町の一角に遭遇する。変に整理されていなくて戦後の時代の物々しさを思わせる一帯でもある。この場所で味わうがっつり系の料理は確かに満足感が大である。

アートイベント「COLORS」の取材で代官山ヒルサイドフォーラムに出没

例年この時期になると代官山のヒルサイドテラスで開催される「COLORS」というアートイベントがある。今年もまた取材を敢行したのです。美大の芸術祭、先週のデザインフェスタ等と比べると賑やかさには欠けるが、若いアーティストたちの意欲的な作品が目に付き、会場には若い才能が開花していた。東京を中心とする圏域ばかりではなく、地方かきらの出品者が目立っているのも特徴的だ。

参加者の中には雑誌メディア等にて作品発表を行なっている人が少なくないが、媒体ニーズによる依頼作品とは別に、こうした展示会での作品発表に力を入れている様子が伺われる。

作家にとってこうしたグループ展活動は、多勢の観客に直接接して、感想や反応に接することができるなど、メリットも大きいのだ。

福井県から上京していたyouさんは、女性をテーマに、コンピュータによる作品、所謂CGによるイラスト作品を展示している。「Illustrator」ソフトを充分に使いこなし、独特なインパクトのある線の描出等、素晴らしい持ち味を感じさせている。自身の作品をアクティブにPRする様も天晴れであった。

■COLORS
2010年11月9日~11月14日
代官山ヒルサイドフォーラム
http://www.hillsideterrace.com

糸井重里さんもおすすめの「上州手振りうどん」

上州(群馬県)産100パーセントの地粉とオーストラリア産小麦粉とで作られたうどんなのだが、これがまたつるつるシコシコと喉越しが良く美味なのだ。上州出身の先輩、糸井重里さんも御用達にしている、いわばお墨付きの逸品である。

麺自体に食感があるので、もりうどんでもいける。茹でた麺を冷水できゅっと冷やしてもれば、つるっとして腰があるもりうどんがすぐ出来上る。朝の忙しい時間にも簡単に調理ができ、胃にももたれない。まあ早く云えば、二日酔いの朝食にはもってこいなのだ。

麺は讃岐うどんのようには太くなく、中太麺といった感じ。上州には「水沢うどん」という名物があるのだが、それをもう少し細くしていながら、つるつるしたうどんの腰は残っている。水沢うどんは半生めんとして出荷されるが、手振りうどんは完全な乾麺である。丁寧に練ったうどんの細く伸ばし、それを時間を掛けて乾かすのだという。水沢うどんは通常10分以上の時間を掛けて茹でるのだが、手振りうどんは4~5分で充分な柔らかさになる。単純に比較は出来ないが、日常食べる乾麺としては、手振りうどんに分があるのではないか。

トッピングによく用いるのは、油揚げ、なめこ茸、葱、ほうれん草、茗荷、三つ葉、…等々、日本料理の汁に合うものならばほとんどOK。時々味噌スープになめこを入れて作るのだが、これが抜群の相性である。

「プレカリアート」は果たして現代の「デラシネ」か?

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この「プレカリアート」とは、作家の雨宮処凛さんが我が国に広めた言葉のことを指している。彼女の著書「プレカリアート」にて冷静かつ徹底したその現状分析が示されている。

「プレカリアート」の定義とは「不安定な雇用・労働条件における非正規雇用者・失業者を総称していう」とされている。元々はイタリア語で「Precario(不安定な)」と「Proletariato(プロレタリアート)」とを掛けてつくられた造語である。イタリアの若者が路上でこの言葉を落書きとして書き記し、国境を越えて全世界に広まった。日本のみならず、グローバル化した先進資本主義社会の中で、若者の貧困化、不安定化が進行している。そんな背景から自然発生的に広まったキーワードなのだ。

経済のグローバル化は新自由主義という美名の基、世界各国に新しい貧困と不安定な暮らしをもたらしたことは、いまや誰もが認識する実態である。だが、貧困、不安定生活は、厳として過去にもずっと存在していた。そんなある時代の不安定生活を表現していた言葉が「デラシネ」である。

一般的に「デラシネ」とは「根無し草」と翻訳される。「根こそぎにされた」という意味のフランス語が語源である。かつて作家の五木寛之氏は「デラシネの旗」という作品において、学生運動への傾斜やその挫折観からの独自の世界観を描いていた。詳細については失念したが、自らの強い意思にてそのデラシネ的生活を求める、求道者的な世界観が背景に見て取れてもいたのだ。

その当時、体制や伝統に背をそむけるという生き方は今以上のエネルギーを必要としたであろうし、今以上に経済的困窮を視野に入れねばならなかったに違いない。だがそれは、自らの祖国や伝統、体制に背を向けてこそ手に入れる生活。たとえ生活は困窮しようとも、受け入れ得ぬ祖国故郷の浅はかなる仕来たりや伝統から身を引き離すことで得られる、ロマンがこもった世界観だとも云える。そんな作家として自立する思想的な営為が、とても鮮やかなものとして感じ取られていたものだ。

時代は移り行き、改めて「プレカリアート」の不安定的現状を考えるに、自ら選択して選ぶことをせずに、不安定生活を強いられてしまう現代の若者は、デラシネ的なロマンをも持つことができないでいる。フリーターでも何とかなるし、生活保護も受ければ良いといった、社会全体の甘えや弛みがそうさせているのかもしれない。一体こんな日本に誰がしたのだ。

北海道の「秋鮭のちゃんちゃん焼き」と、九州の「筑前煮」

北海道の郷土食「ちゃんちゃん焼き」メニューを目にして注文した。だが期待を裏切ってホイール焼きで出されてきたのだ。本来は大量の鮭と、キャベツなどの大量の野菜類を鉄板上に投じて焼き込む料理だ。云わばこの季節の豊穣を祝う料理だったとされる。北海道一帯で食される郷土料理である。なのにこのちまちまして出された料理には、些かがっかりだったのであった。残念!

それとは裏腹に、元々は郷土色でありながらこの季節になると全国的に食されるのが、九州筑前地方が発祥の「筑前煮」だろう。鶏肉(モモ肉が相応しいとされる)をじっくり炒り込んでから、人参、牛蒡、蓮根、蒟蒻、椎茸、等々の季節野菜をたっぷり加えて煮込むというシンプルな料理だ。ちなみに上の写真はおいらが先日調理したものである。

今では日本の煮物料理の基本スタイルがこの調理法をベースにしていると云ってもいいほど、この調理法は定着している。そして誰でも真似が出来て、そう大きな外れが無いのも特徴的だ。

寒くなる秋の終わりから冬にかけては根菜類の収穫のピークだ。マクロビオティック料理の基本は、季節に収穫される食材を基本に調理すべしというものである。まさにこの基本に適った料理が「筑前煮」だと云ってよい。翻って、北海道の「ちゃんちゃん焼き」がいまひとつ我が国の定番料理とならないのは、冬の季節野菜を活かしきれていないということが大きな要因となっているとも云えるのである。

ファンキーモンキーベイビーズも御用達の「宮城ラーメン」

今年から八王子の観光大使を任じている「ファンキーモンキーベイビーズ(略してファンモン)」のメンバーたちが、ずっと昔から通っているラーメン店。八王子駅南口から徒歩2~3分のところにある。看板には「ラーメンのデパート宮城」などとあり、少々物々しいのだが、扉を開けばふつうの町なかにあるラーメン屋といった佇まいだ。

醤油味、味噌味、塩味…等々、種類も具のトッピングも豊富なのだが、やはり店名を冠した「宮城ラーメン」が基本味。それに煮卵(味玉と呼ぶらしい)をトッピングするのがおすすめだ。この煮卵というのが只者ではなく、醤油ベースのスープ味がじっくり煮込まれているから、それだけでも一品のおかずになる。

醤油ベースの「宮城ラーメン」は、いわゆる「八王子ラーメン」の基本を踏襲している。すなわち、濃厚な醤油味のスープに、刻み玉葱がトッピングされている。その他に、ナルト、叉焼、メンマ、ワカメがふつうに乗っているので見た目にはよくあるラーメンという感じだ。麺は中太のちぢれ麺。そしてスープの表面には、またひとつの「八王子ラーメン」系の特徴でもある薄い油状のまくに覆われている。

ファンモンがブレイクして「ファンモンラーメン」というメニューも誕生した。「宮城ラーメン」とそれほどの違いは無いが、「あおさ海苔」がトッピングさているのが特徴だ。全国各地からファンモンのファンたちが同店を訪れてはこのメニューを喰らっていくらしい。とり立てて騒ぐ味ではないが、寒い季節にはほっこりとして温まれる。店の外観には少々戸惑うが、中に入れば家庭的な中華料理店なのだ。

■ラーメンのデパート宮城
八王子市子安町 4-26-6

金宮の「シャリキンロック」はいただけない

「デザインフェスタ」の取材の帰り道にふと立ち寄った新橋の居酒屋で「シャリキンロック」なるアルコールメニューを発見した。「金宮焼酎」を凍らしてカキ氷状にしたもののロックなメニューだという。おすすめの飲み方は、梅のエキスをカキ氷状シャリキンの上にかけて飲む方法だという。試飲してみた。

「シャリキン」と云えば「シャリキンホッピー」というメニューを愛飲しているおいらである。だがこの「シャリキンロック」は金宮焼酎と梅エキスの相性がなっていない。金宮焼酎の軽快で味わい深い特徴を殺しているのだ。

若い店員に「シャリキンのホッピーメニューは無いのか?」と聞いてみた。

「シャリキンロックがまだ新しいメニューなので、これから研究してみますよ」

という答え。シャリキンに便乗して設けたメニューなのかと疑った次第なり。

豊穣な手づくりグッズの祭典「デザインフェスタ」に潜入

先日も触れたが、11/6,7日と「DESIGN FESTA VOL.32」が東京ビッグサイトにて開催されていた。巨大なビッグサイトの「West Halls」を占領して催される当フェスタは、この時期とても気になるイベントで、ここ数年来時々足を運んで注目。今回も取材を敢行したのだ。


「オリジナル作品であれば、どんな方でもご出展頂けます。」という主催者側のアナウンスもあり、全国からデザイン、アートの関係者が集っている。気軽に参加できるアートイベントでありながら、これだけの影響力を行使できるのだから、主催者側は笑いが止まらないものと思われる。

足を運んでいつも目に付くのが、手づくりグッズの豊富な作品群。アクセサリー、ファッション、ブックカバー、玩具、ぬいぐるみ、等々の、様々な豊穣なる手づくりグッズの見本市とも云えるくらいに、手にして接することができる。工場で大量生産される代物とは異なり、思い込みが篭ったものたちばかりである。

つげ義春「無能の人・日の戯れ」にみる優雅なヒモ生活

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近頃は書店に出向いても中々、読みたい本には出くわすことが少なくなった。殊に「人気作家コーナー」「売上ベスト◎◎」といったコーナーを覗くたびに、そんな思いを強くするばかりなり。知人の紹介や書評で興味を抱いた書籍は、Amazonで注文した方が手っ取り早く、無駄な時間を過ごすことも無い。

では一体おいらが読みたかったものは何なのか? と自問自答してみて押入れから取り出したのが、つげ義春さんの「無能の人・日の戯れ」という一冊だった。ご存知、古典的漫画の一冊である。「ねじ式」という作品で著者・つげ義春さんはカルト的な人気・評価を博した後に、かなりの年月を経て発表された作品集となっている。

名作「ねじ式」により、奇才的漫画家としての評価を磐石とさせたつげ義春さんではあったが、その後の生活はといえば、順風満帆だったとは云い難かったようである。漫画の依頼注文も無くなり、生活のかてのほとんどは奥さんが賄っていたらしい。いわばヒモ的な日々の戯れを本書ではモチーフとしている。それは世の男にとってはとても羨ましい。羨望の的と云ってよい。おそらく世の男性の多くがこんなヒモ的な生活に憧れを抱いているのではなかろうか? 

だが誰もがこんな生活が出来る訳ではなくして、ヒモになれる限られた男でしかない。経済的無力でありながらかつ男としての営為を発揮する。そのようなヒモ的資質は特権的なものである。かつてのとろん、高田渡、…その生活を謳歌したのは、ほとんど限られた特別な人間でしかなかったのだ。

「染み入る」本が中々見つからない

さてこの古典的書物を読みたくなった理由を自問して、おいらは心に染み入る本を求めていることに今更ながらに気付いたと云ってよい。「染み入る本」と書いたのは、近頃のベストセラー本にはそうした「染み入る」要素を認め難いという認識を抱いているからに他ならない。

東野圭吾、宮部みゆき、江國香織、市川拓司、桜庭一樹、等々といった当代ベストセラー作家達には、エンターティメント的上手さや時流に乗った嗅覚の見事さを感じるが、それ以外の「染み入る」要素が感じられないのである。作家それぞれに対しては別段に嫌味な評価はするつもりもないのだが、やはり読書欲を刺激されるものでは無くなってしまった。

高円寺「餃子処 たちばな」では餃子が無料なり

高円寺駅から徒歩1~2分の「餃子処 たちばな」では、1人前の餃子250円が無料となる。グルメ雑誌等々のマスコミ誌上では注目を集めているスポットである。無料イベント、無料営業の最たるものだと思え、おいらも取材を敢行したのでした。

店に入れば同店の売りである餃子を焼くぐつぐつとした音が引きも切らない。餃子専門の3つの鍋が始終働いていており、休む間もない。ちなみに餃子以外の注文はといえば、向かいのガスコンロにて賄っておるのであり、両手使いのスタッフの技にも驚かされる。まずはいつものホッピーセットを注文。そして当店自慢の無料の「餃子」。

「何人前ですか?」

という店員の声に些か面食らってしまった。

「2人前でも無料ですか?」
「お酒を2人前注文してもらえれば大丈夫ですよ」

迷わずおいらはホッピーセットの「なか(中身焼酎)」を注文することを注げて、無料の餃子2人前を喰らってきたのでした。

丸い専用の餃子鍋で焼くのは、静岡県浜松の餃子の様である。具材もキャベツが基本となっていて、食べやすく何皿でも受け付ける。もやしが無いことや焼きが少し濃いことなどの違いがあるが、2~3人前は充分に味わえる。餃子専門店の意気込みさえ感じることができる。

近頃では「焼酎」が無料とか、格安「飲み放題」の店が氾濫しているのだが、それらに比べればとても真っ当な居酒屋店舗の格式を見るのである。人は一般的に餃子を3人前以上は食べないだろうから、3人前以下の餃子を無料にして、自らの餃子専門店の位をアピールしようとしているのかもしれない。

■「ぎょうざ処 たちばな」
東京都杉並区高円寺南3-69-1

「八戸せんべい汁」が「アルデンテ」であるという根拠

鍋シリーズの今宵は「せんべい汁」なり。八戸名物の「せんべい汁」をつくったのです。

白菜にきのこ類、根菜類などを醤油ベースの出し汁でぐつぐつと煮込み、火が通ったところでそこに「せんべい」を加える。それだけの極めてシンプルな料理である。同じせんべい汁でも料理店やそれぞれの家庭で仕込む具財は異なっており、特性のせんべいを用いることだけが共通のレシピだと云えるくらいだ。つまりは緩いレシピで広まった郷土食だと云える。北国八戸の家庭では、寒くなればこのせんべい汁が日常的に食されていたことも納得である。

B級グルメの大会でも2度まで銀賞を受賞しており、全国的にその名前が知られることとなっている。今年も金賞候補と噂されながら取れなかった。万年銀賞グルメと囁かれてもいる。

その有力な理由としては、高級食材を使っていないためという指摘もある。「南部せんべい」は旧南部藩ならではの名物ではあるが、当地高級とまでは云えずとも甲府の「鳥もつ煮」、厚木の「シロコロ・ホルモン」等のような、ガツンとしてインパクトの強い食材とは程遠い。翻ってみれば「せんべい汁」がまさにB級食材を用いた郷土食であることを示しており、もっともっと誇って良いのだ。

ところで「八戸せんべい汁」を普及しようと活動をしている「八戸せんべい汁研究所」という団体がアピールするのは、せんべい汁がイタリアのパスタのような「アルデンテ」という食感が楽しめるということだ。八戸に旅行した時にはせんべい汁のポスター、媒体広告等にてこの「アルデンテ」のキャッチコピーを目にし、些か苦笑を禁じ得なかったのである。だがそれなりに根拠もあるのだ。

岩手や青森の南部せんべいの特徴は、粗塩と重曹、水、小麦粉が原料となっている。地元で収穫された小麦粉が主原料となる。よく練ってせんべいの生地をつくり、これを煎餅用の二枚型という型に生地を入れて、焼いていくのだ。この工程により、煮込んでも煮崩れることが無くもちもちとした食感が生まれるのだ。しかも水分をよく吸い込むので、煮込んで数分でアルデンテの完成だということになる。受け狙いだとも思われていた「アルデンテ」のPR戦略は、納得できる根拠を併せ持っていたということになる。

名城かつ心霊スポットの「八王子城跡」を散策

八王子城跡を散策した。そもそも八王子城は、北条氏照により1571年(元亀2年)頃より築城され1587年(天正15年)頃に本拠とされた。日本100名城の一つとされる歴史的古城である。

1590年(天正18年)6月23日、豊臣秀吉の関東制圧の一環で、前田利家・上杉景勝軍に攻められて落城した。落城時に北条氏照らは小田原の合戦に出向いており、城内に残っていたのは婦女子らの非戦闘員ばかりだった。たった1日にして城は落ち、秀吉軍勢による殺戮は凄惨を極めていたとされている。

城主氏照の館のあった「御主殿跡」、御主殿地区の石垣と虎口などの通路、御主殿に続く古道が整備されている。婦女子が身を投げた「御主殿の滝」も近くに残されている。発掘や復元が進められながらも、未だ手付かずの自然を残しており、パワースポットとも心霊スポットとも呼ばれる一帯となっている。入場制限等はないので、夜間の散策も可能である。最近は夜間を狙って霊に出会いに行くマニアも増えているようだ。

手付かずの自然が見せているのは、湧き水から支流に流れ込んでいる川水の清々しさだ。この土地は一級河川「城山川」の上流端でもある。湧き水はここから淺川、多摩川へ合流し、東京湾へと流れていく。霊に出会えなくてもこの清々しい川の流れには出会うことができる。お勧めの一帯なのだ。

■八王子城跡
元八王子町3丁目、西寺方町、下恩方町
管理棟は元八王子町3-2715-2

あまり見かけないが「白貝」に一目置くべし

市場では中々見かけないが、魚介専門店、北海道料理店などに行くと時々目にすることがあり、そんなときには注文したくなる。

「シロガイ」あるいは「サラガイ」とも呼ばれる。外見は文字通り白い色をしており、滑らかで、成長脈と云う筋模様が弱い。大きさは蛤くらいだが、形は青柳やムール貝に近い。生でも食することができるが、蛤のように炙ってバターと醤油を垂らして味わうのが正道だ。少々火を通した方が甘みもコクも拡がっていくようだ。

味は淡白でこれといった癖がない。ビールやホッピーのつまみとして充分だ。色々な貝料理にも使えるようで、検索すれば様々なレシピが見つかった。スーパーなどではなかなか出ないが、今度色々探してみたい食材ではある。

秋の味覚のニューウェイブ「松茸のリゾット」を食す

久しぶりに入ったイタリアン・レストランで「松茸のリゾット」なるメニューに遭遇した。通常は「きのこのリゾット」なのだが、秋季だけの季節限定メニューということだ。迷わず注文してみた。

いわゆるリゾットとは和風のおじやか雑炊のようなものだ。松茸の他に、鶏肉、人参、ブロッコリーや、上には粉チーズが降りかけられている。松茸以外に椎茸のような茸も含まれているようだ。

スープはコンソメ風味が基本だが、スープ中にトマトの細切れがまぶされているためトマトの風味も生きている。松茸とトマトの香りが風味の決め手となっている。どちらもおいらのフェイバレットの食材でありグッドなるマッチングだ。

本年は例年にない松茸が豊作の年である。今年はこれからも松茸料理にチャレンジしていきたいと思っている。その貴重な一つのレシピとして「松茸のリゾット」が挙げられる。いつかこのブログでもレポートするつもりなのでご期待ください。