私はいつも都会をもとめる[西荻窪「ほびっと村」編]

途中下車して駆け込んでみる酒場の光景も悪くない。通りすがりの者ですがと、注文しながらやり取りする会話が盛り上がることもあれば、他所者扱いされて白けるケースも少なくない。地元意識が強い小さな駅前の一杯飲み屋などには、その傾向が強いだろう。中央線沿線の「西荻窪」などはその典型だろうか?

今宵はふと、探検家気分になり、西荻窪にて途中下車してみたのであります。西荻窪と云えば、南口を降りて徒歩3~4分のところには「ほびっと村」というユニークなカルチャー施設がある。1階は自然食栽培にこだわった八百屋である。2階が食事処である。そして3階は本屋とイベントスペースで占められている。本屋といえどもここには、どこにでも売っている種類の本はほとんど置いていない。独特な品揃えが特徴のオンリーワン書店である。かつてこの書店にて「とろん」の本を購入したことがあった。そしてとろんの口利きで写真展を開いたこともあった。

http://www.nabra.co.jp/hobbit/hobbit_mura.htm

もう10年も昔の話になるが、この施設の踊り場スペースを借り切って、彼女と二人展を開いたことがあったのである。展覧会タイトルは確か、「祭りで出遭ったアーティストたち」。とろん、きらきら、高田渡、花&フェノミナン、エトセトラのアーティストたちを撮影した写真を展示したのだが、初日のオープニングパーティーには、2階の食事処を埋め尽くすくらい大勢の参加者でごった返したという想い出がよみがえってくる。オープニングパーティー後のアキンと某同窓生との二次会では、西荻駅前の赤提灯酒場で酒を喰らい、酔ってトイレに出たが最後は迷い続けてしまい、手荷物も置いたままほうほうの体で自宅に彷徨い帰ったという苦々しい想い出も、ぎゅうぎゅうに詰まっているところなのである。ちなみにおいらにとっては大切だった手荷物を、わざわざタクシーで遠回りして届けてくれたのは、アキンではなく某同窓生であった。感謝、多謝、謝謝なのである。