ホッピー発祥の店でみる人間模様

 本日立ち寄ったのは、有楽町駅近くガード下の店舗なり。入口前には「ホッピー発祥の店」の看板が目に付く。何となく入りたくなる風情に誘われて、何度か通っている店である。入口をくぐって地階に潜れば居酒屋、半2階の階段を上がればアイリッシュパブ風の店舗が広がっている。和洋折衷なのである。

おいらの行きつけはホッピーの飲める半地階の居酒屋だ。客の半数以上がおそらくホッピーを注文している。焼酎のいわゆる「なか」を、ボトルで注文する猛者も少なくない。名物女将のおばあさんが店を取り仕切るいつもの光景。

「今日は金曜だからさあ、これから忙しくなるんだよ…」

と、愚痴とは云えない小言を述べては注文を取りにくるのだ。今日はお勧めの太刀魚の刺身と小さな里芋(何とか云うメニューの名前があったが忘れてしまった)を注文、お酒はもちろんホッピーである。

隣席では、欧米客カップルにエスコートするペラペライングリッシュの女性と合わせて3名が、豪華な刺し盛りを挟んで談笑している。脂の乗ったトロの色が刺激的である。熱弁を振るっていたのがエスコート歴も長いであろう妙齢の美女である。地下鉄線のMapを広げて、これから次に向かおうとする場所の説明をしているのであろう。GoogleMapを印刷したような地図を広げつつ、エスコートを続行中なり。酔人観察には目がないおいらは、そっとその光景を眺めていたのだが、ふとエスコート美女と目が合うと美女は、

「ちょっとすいません。この駅は何という駅ですか?」

と尋ねたのだ。Map上にある駅は「木場」。「きばですよ」と、おいらは答えた。ただそれだけのやりとりではあったが、何となくエスコート役の案内美女にシンパシーを感じた、今宵の銀座の夜であった。