特異なビジョンを展開させている伊坂幸太郎さんの「PK」を読んだ

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人気作家、伊坂幸太郎さんによる作品集の「PK」を読んだ。文芸誌による発表作品をまとめて昨年刊行された3部作。「PK」「超人」「密使」の3編の作品が収録されている。

表題作の「PK」は、サッカーの試合における「ペナルティキック」のことを指している。ペナルティエリア内での相手チームの反則により、PKのチャンスを得たヒーローが、その一撃を決めるというシチュエーションが、劇画のような筆致で描かれている。

筆致は劇画調であるが、テーマと云うのか題材は、政治、人生観、超能力、等々の現代日本人受けするものがてんこもりである。SF作品を得意としてきた作家がここへきて、こうしたテーマ作品に舵を取り作品発表を行っている。そのことは作家としてのビジョン的展開の一つではあるのだろうが、その必然性と云うものを感じ取ることは無かった。

最終的にはどの作品も、ある種の余韻という、いわば曖昧な領域へのビジョンへとつながり、エンターティナー的要素ばかりが刺激的に見受けられる作品集と云う印象なのである。