北海道の「秋鮭のちゃんちゃん焼き」と、九州の「筑前煮」

北海道の郷土食「ちゃんちゃん焼き」メニューを目にして注文した。だが期待を裏切ってホイール焼きで出されてきたのだ。本来は大量の鮭と、キャベツなどの大量の野菜類を鉄板上に投じて焼き込む料理だ。云わばこの季節の豊穣を祝う料理だったとされる。北海道一帯で食される郷土料理である。なのにこのちまちまして出された料理には、些かがっかりだったのであった。残念!

それとは裏腹に、元々は郷土色でありながらこの季節になると全国的に食されるのが、九州筑前地方が発祥の「筑前煮」だろう。鶏肉(モモ肉が相応しいとされる)をじっくり炒り込んでから、人参、牛蒡、蓮根、蒟蒻、椎茸、等々の季節野菜をたっぷり加えて煮込むというシンプルな料理だ。ちなみに上の写真はおいらが先日調理したものである。

今では日本の煮物料理の基本スタイルがこの調理法をベースにしていると云ってもいいほど、この調理法は定着している。そして誰でも真似が出来て、そう大きな外れが無いのも特徴的だ。

寒くなる秋の終わりから冬にかけては根菜類の収穫のピークだ。マクロビオティック料理の基本は、季節に収穫される食材を基本に調理すべしというものである。まさにこの基本に適った料理が「筑前煮」だと云ってよい。翻って、北海道の「ちゃんちゃん焼き」がいまひとつ我が国の定番料理とならないのは、冬の季節野菜を活かしきれていないということが大きな要因となっているとも云えるのである。

ファンキーモンキーベイビーズも御用達の「宮城ラーメン」

今年から八王子の観光大使を任じている「ファンキーモンキーベイビーズ(略してファンモン)」のメンバーたちが、ずっと昔から通っているラーメン店。八王子駅南口から徒歩2~3分のところにある。看板には「ラーメンのデパート宮城」などとあり、少々物々しいのだが、扉を開けばふつうの町なかにあるラーメン屋といった佇まいだ。

醤油味、味噌味、塩味…等々、種類も具のトッピングも豊富なのだが、やはり店名を冠した「宮城ラーメン」が基本味。それに煮卵(味玉と呼ぶらしい)をトッピングするのがおすすめだ。この煮卵というのが只者ではなく、醤油ベースのスープ味がじっくり煮込まれているから、それだけでも一品のおかずになる。

醤油ベースの「宮城ラーメン」は、いわゆる「八王子ラーメン」の基本を踏襲している。すなわち、濃厚な醤油味のスープに、刻み玉葱がトッピングされている。その他に、ナルト、叉焼、メンマ、ワカメがふつうに乗っているので見た目にはよくあるラーメンという感じだ。麺は中太のちぢれ麺。そしてスープの表面には、またひとつの「八王子ラーメン」系の特徴でもある薄い油状のまくに覆われている。

ファンモンがブレイクして「ファンモンラーメン」というメニューも誕生した。「宮城ラーメン」とそれほどの違いは無いが、「あおさ海苔」がトッピングさているのが特徴だ。全国各地からファンモンのファンたちが同店を訪れてはこのメニューを喰らっていくらしい。とり立てて騒ぐ味ではないが、寒い季節にはほっこりとして温まれる。店の外観には少々戸惑うが、中に入れば家庭的な中華料理店なのだ。

■ラーメンのデパート宮城
八王子市子安町 4-26-6

金宮の「シャリキンロック」はいただけない

「デザインフェスタ」の取材の帰り道にふと立ち寄った新橋の居酒屋で「シャリキンロック」なるアルコールメニューを発見した。「金宮焼酎」を凍らしてカキ氷状にしたもののロックなメニューだという。おすすめの飲み方は、梅のエキスをカキ氷状シャリキンの上にかけて飲む方法だという。試飲してみた。

「シャリキン」と云えば「シャリキンホッピー」というメニューを愛飲しているおいらである。だがこの「シャリキンロック」は金宮焼酎と梅エキスの相性がなっていない。金宮焼酎の軽快で味わい深い特徴を殺しているのだ。

若い店員に「シャリキンのホッピーメニューは無いのか?」と聞いてみた。

「シャリキンロックがまだ新しいメニューなので、これから研究してみますよ」

という答え。シャリキンに便乗して設けたメニューなのかと疑った次第なり。

豊穣な手づくりグッズの祭典「デザインフェスタ」に潜入

先日も触れたが、11/6,7日と「DESIGN FESTA VOL.32」が東京ビッグサイトにて開催されていた。巨大なビッグサイトの「West Halls」を占領して催される当フェスタは、この時期とても気になるイベントで、ここ数年来時々足を運んで注目。今回も取材を敢行したのだ。


「オリジナル作品であれば、どんな方でもご出展頂けます。」という主催者側のアナウンスもあり、全国からデザイン、アートの関係者が集っている。気軽に参加できるアートイベントでありながら、これだけの影響力を行使できるのだから、主催者側は笑いが止まらないものと思われる。

足を運んでいつも目に付くのが、手づくりグッズの豊富な作品群。アクセサリー、ファッション、ブックカバー、玩具、ぬいぐるみ、等々の、様々な豊穣なる手づくりグッズの見本市とも云えるくらいに、手にして接することができる。工場で大量生産される代物とは異なり、思い込みが篭ったものたちばかりである。

つげ義春「無能の人・日の戯れ」にみる優雅なヒモ生活

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近頃は書店に出向いても中々、読みたい本には出くわすことが少なくなった。殊に「人気作家コーナー」「売上ベスト◎◎」といったコーナーを覗くたびに、そんな思いを強くするばかりなり。知人の紹介や書評で興味を抱いた書籍は、Amazonで注文した方が手っ取り早く、無駄な時間を過ごすことも無い。

では一体おいらが読みたかったものは何なのか? と自問自答してみて押入れから取り出したのが、つげ義春さんの「無能の人・日の戯れ」という一冊だった。ご存知、古典的漫画の一冊である。「ねじ式」という作品で著者・つげ義春さんはカルト的な人気・評価を博した後に、かなりの年月を経て発表された作品集となっている。

名作「ねじ式」により、奇才的漫画家としての評価を磐石とさせたつげ義春さんではあったが、その後の生活はといえば、順風満帆だったとは云い難かったようである。漫画の依頼注文も無くなり、生活のかてのほとんどは奥さんが賄っていたらしい。いわばヒモ的な日々の戯れを本書ではモチーフとしている。それは世の男にとってはとても羨ましい。羨望の的と云ってよい。おそらく世の男性の多くがこんなヒモ的な生活に憧れを抱いているのではなかろうか? 

だが誰もがこんな生活が出来る訳ではなくして、ヒモになれる限られた男でしかない。経済的無力でありながらかつ男としての営為を発揮する。そのようなヒモ的資質は特権的なものである。かつてのとろん、高田渡、…その生活を謳歌したのは、ほとんど限られた特別な人間でしかなかったのだ。

「染み入る」本が中々見つからない

さてこの古典的書物を読みたくなった理由を自問して、おいらは心に染み入る本を求めていることに今更ながらに気付いたと云ってよい。「染み入る本」と書いたのは、近頃のベストセラー本にはそうした「染み入る」要素を認め難いという認識を抱いているからに他ならない。

東野圭吾、宮部みゆき、江國香織、市川拓司、桜庭一樹、等々といった当代ベストセラー作家達には、エンターティメント的上手さや時流に乗った嗅覚の見事さを感じるが、それ以外の「染み入る」要素が感じられないのである。作家それぞれに対しては別段に嫌味な評価はするつもりもないのだが、やはり読書欲を刺激されるものでは無くなってしまった。

高円寺「餃子処 たちばな」では餃子が無料なり

高円寺駅から徒歩1~2分の「餃子処 たちばな」では、1人前の餃子250円が無料となる。グルメ雑誌等々のマスコミ誌上では注目を集めているスポットである。無料イベント、無料営業の最たるものだと思え、おいらも取材を敢行したのでした。

店に入れば同店の売りである餃子を焼くぐつぐつとした音が引きも切らない。餃子専門の3つの鍋が始終働いていており、休む間もない。ちなみに餃子以外の注文はといえば、向かいのガスコンロにて賄っておるのであり、両手使いのスタッフの技にも驚かされる。まずはいつものホッピーセットを注文。そして当店自慢の無料の「餃子」。

「何人前ですか?」

という店員の声に些か面食らってしまった。

「2人前でも無料ですか?」
「お酒を2人前注文してもらえれば大丈夫ですよ」

迷わずおいらはホッピーセットの「なか(中身焼酎)」を注文することを注げて、無料の餃子2人前を喰らってきたのでした。

丸い専用の餃子鍋で焼くのは、静岡県浜松の餃子の様である。具材もキャベツが基本となっていて、食べやすく何皿でも受け付ける。もやしが無いことや焼きが少し濃いことなどの違いがあるが、2~3人前は充分に味わえる。餃子専門店の意気込みさえ感じることができる。

近頃では「焼酎」が無料とか、格安「飲み放題」の店が氾濫しているのだが、それらに比べればとても真っ当な居酒屋店舗の格式を見るのである。人は一般的に餃子を3人前以上は食べないだろうから、3人前以下の餃子を無料にして、自らの餃子専門店の位をアピールしようとしているのかもしれない。

■「ぎょうざ処 たちばな」
東京都杉並区高円寺南3-69-1

「八戸せんべい汁」が「アルデンテ」であるという根拠

鍋シリーズの今宵は「せんべい汁」なり。八戸名物の「せんべい汁」をつくったのです。

白菜にきのこ類、根菜類などを醤油ベースの出し汁でぐつぐつと煮込み、火が通ったところでそこに「せんべい」を加える。それだけの極めてシンプルな料理である。同じせんべい汁でも料理店やそれぞれの家庭で仕込む具財は異なっており、特性のせんべいを用いることだけが共通のレシピだと云えるくらいだ。つまりは緩いレシピで広まった郷土食だと云える。北国八戸の家庭では、寒くなればこのせんべい汁が日常的に食されていたことも納得である。

B級グルメの大会でも2度まで銀賞を受賞しており、全国的にその名前が知られることとなっている。今年も金賞候補と噂されながら取れなかった。万年銀賞グルメと囁かれてもいる。

その有力な理由としては、高級食材を使っていないためという指摘もある。「南部せんべい」は旧南部藩ならではの名物ではあるが、当地高級とまでは云えずとも甲府の「鳥もつ煮」、厚木の「シロコロ・ホルモン」等のような、ガツンとしてインパクトの強い食材とは程遠い。翻ってみれば「せんべい汁」がまさにB級食材を用いた郷土食であることを示しており、もっともっと誇って良いのだ。

ところで「八戸せんべい汁」を普及しようと活動をしている「八戸せんべい汁研究所」という団体がアピールするのは、せんべい汁がイタリアのパスタのような「アルデンテ」という食感が楽しめるということだ。八戸に旅行した時にはせんべい汁のポスター、媒体広告等にてこの「アルデンテ」のキャッチコピーを目にし、些か苦笑を禁じ得なかったのである。だがそれなりに根拠もあるのだ。

岩手や青森の南部せんべいの特徴は、粗塩と重曹、水、小麦粉が原料となっている。地元で収穫された小麦粉が主原料となる。よく練ってせんべいの生地をつくり、これを煎餅用の二枚型という型に生地を入れて、焼いていくのだ。この工程により、煮込んでも煮崩れることが無くもちもちとした食感が生まれるのだ。しかも水分をよく吸い込むので、煮込んで数分でアルデンテの完成だということになる。受け狙いだとも思われていた「アルデンテ」のPR戦略は、納得できる根拠を併せ持っていたということになる。

名城かつ心霊スポットの「八王子城跡」を散策

八王子城跡を散策した。そもそも八王子城は、北条氏照により1571年(元亀2年)頃より築城され1587年(天正15年)頃に本拠とされた。日本100名城の一つとされる歴史的古城である。

1590年(天正18年)6月23日、豊臣秀吉の関東制圧の一環で、前田利家・上杉景勝軍に攻められて落城した。落城時に北条氏照らは小田原の合戦に出向いており、城内に残っていたのは婦女子らの非戦闘員ばかりだった。たった1日にして城は落ち、秀吉軍勢による殺戮は凄惨を極めていたとされている。

城主氏照の館のあった「御主殿跡」、御主殿地区の石垣と虎口などの通路、御主殿に続く古道が整備されている。婦女子が身を投げた「御主殿の滝」も近くに残されている。発掘や復元が進められながらも、未だ手付かずの自然を残しており、パワースポットとも心霊スポットとも呼ばれる一帯となっている。入場制限等はないので、夜間の散策も可能である。最近は夜間を狙って霊に出会いに行くマニアも増えているようだ。

手付かずの自然が見せているのは、湧き水から支流に流れ込んでいる川水の清々しさだ。この土地は一級河川「城山川」の上流端でもある。湧き水はここから淺川、多摩川へ合流し、東京湾へと流れていく。霊に出会えなくてもこの清々しい川の流れには出会うことができる。お勧めの一帯なのだ。

■八王子城跡
元八王子町3丁目、西寺方町、下恩方町
管理棟は元八王子町3-2715-2

あまり見かけないが「白貝」に一目置くべし

市場では中々見かけないが、魚介専門店、北海道料理店などに行くと時々目にすることがあり、そんなときには注文したくなる。

「シロガイ」あるいは「サラガイ」とも呼ばれる。外見は文字通り白い色をしており、滑らかで、成長脈と云う筋模様が弱い。大きさは蛤くらいだが、形は青柳やムール貝に近い。生でも食することができるが、蛤のように炙ってバターと醤油を垂らして味わうのが正道だ。少々火を通した方が甘みもコクも拡がっていくようだ。

味は淡白でこれといった癖がない。ビールやホッピーのつまみとして充分だ。色々な貝料理にも使えるようで、検索すれば様々なレシピが見つかった。スーパーなどではなかなか出ないが、今度色々探してみたい食材ではある。

秋の味覚のニューウェイブ「松茸のリゾット」を食す

久しぶりに入ったイタリアン・レストランで「松茸のリゾット」なるメニューに遭遇した。通常は「きのこのリゾット」なのだが、秋季だけの季節限定メニューということだ。迷わず注文してみた。

いわゆるリゾットとは和風のおじやか雑炊のようなものだ。松茸の他に、鶏肉、人参、ブロッコリーや、上には粉チーズが降りかけられている。松茸以外に椎茸のような茸も含まれているようだ。

スープはコンソメ風味が基本だが、スープ中にトマトの細切れがまぶされているためトマトの風味も生きている。松茸とトマトの香りが風味の決め手となっている。どちらもおいらのフェイバレットの食材でありグッドなるマッチングだ。

本年は例年にない松茸が豊作の年である。今年はこれからも松茸料理にチャレンジしていきたいと思っている。その貴重な一つのレシピとして「松茸のリゾット」が挙げられる。いつかこのブログでもレポートするつもりなのでご期待ください。