北海道の「秋鮭のちゃんちゃん焼き」と、九州の「筑前煮」

北海道の郷土食「ちゃんちゃん焼き」メニューを目にして注文した。だが期待を裏切ってホイール焼きで出されてきたのだ。本来は大量の鮭と、キャベツなどの大量の野菜類を鉄板上に投じて焼き込む料理だ。云わばこの季節の豊穣を祝う料理だったとされる。北海道一帯で食される郷土料理である。なのにこのちまちまして出された料理には、些かがっかりだったのであった。残念!

それとは裏腹に、元々は郷土色でありながらこの季節になると全国的に食されるのが、九州筑前地方が発祥の「筑前煮」だろう。鶏肉(モモ肉が相応しいとされる)をじっくり炒り込んでから、人参、牛蒡、蓮根、蒟蒻、椎茸、等々の季節野菜をたっぷり加えて煮込むというシンプルな料理だ。ちなみに上の写真はおいらが先日調理したものである。

今では日本の煮物料理の基本スタイルがこの調理法をベースにしていると云ってもいいほど、この調理法は定着している。そして誰でも真似が出来て、そう大きな外れが無いのも特徴的だ。

寒くなる秋の終わりから冬にかけては根菜類の収穫のピークだ。マクロビオティック料理の基本は、季節に収穫される食材を基本に調理すべしというものである。まさにこの基本に適った料理が「筑前煮」だと云ってよい。翻って、北海道の「ちゃんちゃん焼き」がいまひとつ我が国の定番料理とならないのは、冬の季節野菜を活かしきれていないということが大きな要因となっているとも云えるのである。