パッシングされた沢尻エリカの向かうべき今後の、正と邪。

銀座のソニービルでは沢尻エリカの巨大なポスターが道行く観光客らの人々の視線を釘付けにしている。極小ブラと腰まわりを隠した皮製のなにやらを身にまとってポーズしているのだから、思わず知らずに足を止めて見つめてしまうのもせん無きことだと云うべきだろう。ポスターに踊っている「沢尻エリカ、解禁。」のコピーは、様々に不穏当な憶測を呼ぶのだが、まあ何てことはない、芸能界に復帰できてオメデトー、初仕事はこれたかのゆりのCMですよと、まあ単なる人を喰ったセレモニー、イベントのである。

そもそも沢尻エリカと云えば、井筒和幸監督の映画「パッチギ」で女優デビューを果たし、その可憐な存在感で多くのファンを魅了したものであった。それが一昨年の「別に…」騒動で芸能マスコミの餌食となってしまった。ちょっとばかりお行儀が悪かったという程度のネタなのだが、それが芸能マスコミの格好のターゲットとされ、パッシングの対象となったのだから不運であった。

「持ち上げるだけ持ち上げて、落とす」。これが芸能マスコミの基本的スタンスである。沢尻さんはデビュー間もなくさんざん持ち上げられていて、たぶん有頂天になっていて、「私は女優よ、もともと女優よ。女優なんだから生意気よ。生意気なんだから、マスコミは媚び諂いなさい。」云々という、云わば思い上がり的境地に辿り着いたのではあるまいか。ただしそんな境地はまだかりそめのものであって、芸能マスコミがお膳立てしたものでしかなかったのである。だから結局のところ、芸能マスコミの格好のネタにされてしまったことを強く認識すべきなのである。

おいらはかつて芸能マスコミの一員として仕事をしたという恥ずべき過去を有しているが、ただし沢尻エリカさんをパッシングするような邪道なサメ集団では決してない。それどころか、エリカさんの復帰を歓迎するものなり。敬愛する俊才、井筒和幸監督が見込んで主役に抜擢した逸材が、こんなことで萎んでしまってはならないのである。もう一度「パッチギ」に抜擢された女優の原点に立ち返り、女優としての再起を図る心づもりが必要である。CMに起用されたからと云って浮かれていてはいけないのである。