川崎市生田緑地内「岡本太郎美術館」の「人間・岡本太郎」展を鑑賞

本日向かっていたのは、小田急線の「向ヶ丘遊園」駅。目指したのは遊園地ではなく「岡本太郎美術館」である。そこで太郎さんの企画展が開催されているのだ。

今年生誕100周年を迎えた岡本太郎さんの特別展はといえば、千代田区の「東京国立近代美術館」にて大々的に開催されており、代表作品というものはほとんどがそちらの会場にて展示使用中なのだが、会場のスケールは川崎の美術館が引けをとらないことに加え、入館者もそれほど多くはない為、じっくりと岡本太郎というアーティスト作品に接するには良い機会である。

会場は常設展と企画展の2本立て。中でも注目したのが企画展の「人間・岡本太郎」展だった。「どうしても本職というなら、人間です。」というキャッチコピーさながら、生々しい太郎さんの私的な面にスポットが当てられていた。

例えば太郎さんが登場する当時の「プレイボーイ」誌は数十冊にも及び、若者メディアへの影響力の甚大さを示していたし、太郎さんの作品制作の姿をビデオで収めた映像では、制作時の呼吸音や脈拍音までが伝わってくるようなリアリティーを伝えていたのである。ファンならずとも芸術に関わる全ての人間にとって興味深い光景が示されていたのだ。

会場には「建築・デザイン」「写真」「思想」「文学」「美術」「漫画・イラスト」「映画」「一平・かの子」「政治・芸能・スポーツ」といったテーマ毎の小部屋が設けられていた。フランスで活動していた当時のバタイユとの交流は、帰国してからの太郎さんの制作に甚大な影響を与えていたが、それのみならず、ミルチャ・エリアーデの思想が彼にもたらした影響についても、その根拠とともに提示されていた。おいらにとっても新しい発見であったことを付け加えておきたい。

太郎さんの作品世界にとって必須の概念である「シャーマニズム」「イメージとシンボル」といったものが、エリアーデの影響下にあったのだろうという推論から導き出された新たな岡本太郎像がそこにはあった。

生誕100周年行事はこれからもまだまだ続いていく。東北岩手の「鬼剣舞」と太郎さんとの関わりなどにはとても関心を抱いているところだ。これからも機会がある毎に、岡本太郎さんに注目レポートなどしていきたいと考えているところなのだ。

■川崎市岡本太郎美術館
川崎市多摩区枡形7-1-5
TEL 044-900-9898
http://www.taromuseum.jp