脂が乗った冬の「〆鯖(しめさば)」も悪くない

冬のこの頃は鯖も脂が乗って美味い季節だ。然しながらなかなか鯖の刺身にありつくことは滅多に無く、鯖の旬のメニューは「〆鯖(しめさば)」と凡その相場が決まっているのだ。スーパーやコンビニの生ものコーナー等にはこの〆鯖にもお目にかかるがなかなか食べたいと思うことが無い。工場で大量生産された〆鯖の残念な味わいがずっと尾を引いているからに他ならないのである。

ところがどっこい、居酒屋のこの時期のメニューとして提供される〆鯖には、ひと手間、一仕事を通ってこそ出来た、味わいぶかきものが屡見受けられており、「〆鯖」のメニューに接するたびに注文したくなる。

このたび上野アメ横界隈で食した〆鯖もまた、〆鯖の醍醐味を味わうに足る逸品であったのだった。先ずは大切なことだが、決して塩辛くは無いということ。大量の塩で〆た〆鯖は日持ちはするだろうが決して本来の〆鯖の美味さを有してはいないのだ。コンビニ、スーパー等で販売されているものは往々にしてこのような代物が多い。

決して塩辛くは無く、酢の酸味が喉を潤してくれる。青魚でありながら鯖の紅い身の色合いがまた食欲を誘っている。この時期にこそ食べたいメニューであることは間違いない。