古き床しき軽米町の風景

東北新幹線が青森まで伸びて高速化が進んだ反面で、軽米町を取り巻く交通事情は不便となっている。少し前までは盛岡から高速道を使っての高速直行便こと高速バス「ウインディ号」は廃止されてしまって、軽米インターの降車場から町まで、てくてくと歩かねばならない。かつて久慈行き何度も利用した久慈行きのバス便も今は無い。陸中大野というバス停まで行って乗り換えねばならないのであり、そこで待たされる時間を思えば何だか億劫になることこのうえないのだ。

あり余る時間をとにかく歩き回った。東北も猛暑のまっ只中と見え、汗が滲み出している。まるで蒸し風呂の中にいるようだ。後からチェックしたら「16283歩」という堂々の1位のステップ数を記録したのだ。歩くということが日常生活の中での最も大切な健康法であることを再認識したのである。

軽米には古くて床しき景色が残されており、そんな風景に接すると、なんともいえない満たされた気持ちで一杯になる。宿をチェックアウトして、定期バスに乗車するまでの4時間あまりを散策して過ごすことになった訳であるが、古くて懐かしい土地の有難さに満たされていたのだ。