東松山のご当地名物「やきとり」こと豚のカシラ焼きに舌鼓

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先日は埼玉県の東松山を訪れたのだ。主目的はご当地名物の「やきとり」を食することである。この小都市には約百軒もの「やきとり屋」が密集している。それを称して「やきとりのワンダーランド」などと呼ぶグルメ本もあるくらいだ。同地域にて提供される「やきとり」の材料は鶏ではなくて豚である。本来であれば「焼きトン」と称すべきなのだが、この土地柄では古くからの慣習で「やきとり」と云えば豚の串焼きを指すことになっている。またほとんどの店では、軽く塩焼きにしたものに特性の「辛味ダレ」を付けて食べるのが慣わしとなっている。また特に指定しない限り「カシラ肉」とねぎを刺して焼いたものがやきとりの代名詞である。店に入って席に着くと何も云わずに「カシラ」の焼きトン、おっと間違いだ、やきとりが運ばれてくる老舗店まであるくらいだ。好き嫌いはあるがこの土地では土地の流儀にしたがい個性的なやきとりを愉しむのである。ちなみに「カシラ」とは豚のほほの肉を指すが、程よく引き締まって味わいも濃厚だ。吉祥寺の老舗店「いせや」で出される「カシラ」は脂身がギトギトしていてあまり好みではないのだが、東松山の「カシラ」は下処理が上手にされていて食べやすい。同じ食材でも調理法でこれだけ違いがあることを知ったのである。

初めて訪れた「大島屋」は東松山駅から徒歩数分の立地にある小さな店舗であり、やきとり以外にも多数のメニューを提供している。やきとりのワンダーランドこと東松山の玄関口の、とても趣きある店舗としての名店である。ホッピーがメニューにあることを確認して先ずはホッピーでのどを潤して、やきとりこと豚のカシラ焼きを注文。そして添えられた辛味ダレをたっぷりと掛けて口に含めば、東松山ならではのやきとりの味わいにうっとり。焼きトンはカシラが一番だという説にも納得の美味さだった。