甲斐の国にて、夏向けの「ほうとう」こと「おざら」を食す

青春18切符が1回分残っていたので、それを消化すべく甲斐の国こと山梨県方面に向かったのです。相変わらずの猛暑酷暑で、気分爽快とは云えずにいたのだが、甲府地元食堂で食べた「おざら」というメニューは、中々面白い出会いであった。

「おざら」というのは簡単に説明すると「ほうとうのつけ麺」あるいは「冷たいほうとう」といったところ。夏場では流石に熱々のほうとうは食べる気にもならず、かと云ってせっかくの甲州に来て名物を食べずには帰れない。そうした観光客をターゲットにして、注目を集めているようだ。元来は甲州の田舎では夏場のメニューとしてポピュラーだったという話もあり、一概に観光客相手だとばかりは断定できない。

さて、そんな「おざら」を食した第一印象はと問うならば、それほどの感激もなかったと云うべきか。ほうとうに使用される極太の麺は、冷やし麺として食べてみればきしめんをもう少し太くしたような、いかにもフツーのものである。決して上州の「水沢うどん」のようなもちもちっとして雅なる、独特の味わいがある訳ではない。

冷やした麺とともに出される漬け汁は、椎茸や人参、油揚げがトッピングされていてとても濃厚でくどい位に甘味が強いが、所詮それ以上のものではない。そもそもほうとう麺が冷やしになって、味噌味で無くなる理由というのがわからない。味噌味とほうとうめんは表裏一体と考えていたのだが、何か裏切られたという思いさえもが生じてしまうのだ。

あまり他県の批判はしたくはないが、甲州の「おざら」は上州の「水沢うどん」の足元にもおよばない代物であったということか。