「ちぢみほうれん草」は寒い冬にこそ食する価値ありの逸品食材

本年は大雪のため、冬もの野菜類の収穫が悪いのだという。大根、ほうれん草、等々が分厚い雪の陰に隠れて収穫不能になっているニュース画像を、何度か目にしている。そんな今年にふと目にした食材が「ちぢみほうれん草」であった。群馬県館林産とある。迷わず購入したのだった。

そのちぢみほうれん草の風貌には皺が深くに刻まれていており、見るからに分厚い雪に押し潰された凍えた畑の風景を容易に想像させている。

上に伸びようとしても巨きな圧力に阻まれて伸びることが出来ないで、根を張るように伸びている、まるでぐれた少年少女のようにひめたる生命力の存在を感じ取らせるのに充分な姿かたちなのである。

とりあえずこの「ちぢみほうれん草」をゆがいてお浸しにしてみた。濃緑の葉はよりいっそう鮮やかさを増し瑞々しい。その生命力に見とれていた。味はすこぶる濃く、そしてすこぶる苦かった。それだけ味わいも恵みも共に、凝縮されているということなのであろう。