早春の「焼き筍」は想像以上に柔らかく滋味芳醇なり

最近の居酒屋は「季節の先取り」がテーマと見えて、春を前にして春の食材を提供するのがならわしと化しつつあるようだ。まだ肌寒い冬だというのに居酒屋のメニューには春のメニューが並んでいく。

昨日の「初カツオ」に続いて近頃味わった春メニューが「筍焼き」であった。まだ地上に姿を現していないであろうほどの小ぶりの筍を皮ごと丸ごと焼いて調理する。とてもシンプルな料理なのだ。

皿に乗せられて出てきたそのメニューには、幾重にも包まれたその皮に焦げ目がつけられており、丁寧に火が通されたあとが生々しい。焦げた香りに導かれるように皮を1枚1枚丁寧に剥ぎ取っていくと、ピチピチとして柔らかな身の部分にたどり着いた。

ふっくらとして香ばしい若筍の味わいはまさしく春の旬というものであった。柔らかな身はさくさくとしていて、その中から漏れ出されるえぐみのような味もまた芳醇だ。