今年もまた「戻りカツオ」の旨い味わいに出会わしたのだ

今年も戻りカツオが美味しい季節となった。春から夏にかけて北方オホーツク近くの海を漫遊したカツオたちがたっぷりと栄養を蓄えて、日本近海の海へと戻っている。その鮮やか鮮烈な赤みにピンクの刺しが入ったような様は、独特のカツオの脂の乗り方を映している。

脂が乗っても決してくどくなく、かといって白身魚のような自己主張の薄くて他の食材に頼りがちな食味等とも、明らかな一線を画して、カツオ本来の持つ味わいである。そんな戻りカツオに出会ったおいらは、今年もラッキーであったと云えよう。

強烈な海洋魚としての一仕事を終えて、逆に南下のルートを選択させるのだから、それはカツオの生態という現象を超えた自然界の摂理が働いているはずである。

北上してのち南下するというユーターンルートを辿ってみると、黒潮の流れに押されるように北上したカツオたちが北海道沖の海水が冷えて南下に切り替わるポイントに、もっとも想像力を刺激される。潮の流れに逆らって南下のルートを選択する海の猛者たち。彼らはきっと、勝ち誇った道を捨てつつ帰るべき故郷を探す旅に出たのではないかと想像するのだ。