水嶋ヒロ(齋藤智裕)「KAGEROU」の文学賞受賞と純文学の衰退

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ポプラ社文芸大賞を受賞したということでセンセーショナルな話題の、水嶋ヒロ(齋藤智裕)著「KAGEROU」。前評判とは裏腹に酷評の嵐の様相を呈している。気になっておいらも書店で3回程度立ち読みして読了。やはりと云うのだろうか、まるで映画のノベライズ化された本を読まされているといった印象であった。あるいは、妙にあれこれと手垢のついたコミック本のストーリーを作者なりの恣意性によってアレンジして作り上げられた作品とでも云おうか…。純文学としての作品を期待していた一読者としては、期待外れに留まらず失望の念を禁じえない。

閑話休題。

まあ、新人作家に対する毀誉褒貶は様々なものであるので気にすることはない。何も水嶋ヒロを芥川賞作家に匹敵する作家だと予想していた訳でもないのだ。ありのままに評価するしかない。

そしてそれ以上に暗澹たる予感として感じるのが、我が国の純文学或いは純粋芸術の衰退である。欧米各国それぞれ、純文学の作家を輩出している中で、こと日本という国にはそれを涵養する土壌があるのか否か? ちとばかり、欧米の事情とも鑑みつつ考察してみたいのだ。そんなテーマとして突き刺さってしまっている。いずれ当ブログでもレポートするつもりだ。