80年代的エロスとカオスの雑誌「スコラ」がついに廃刊

1982年に創刊され、以来28年という長きにわたって世の男性たちのエロスとカオスのニーズに応えてきた雑誌「スコラ」が、今年の7月号を最後についに廃刊となった。「スコラ」という書名は西欧文明の「スコラ哲学」から由来しており、広く学問を指し示す言葉ではあるのだが、雑誌のコンテンツから受けるイメージとのギャップが印象的であった。「エロス」と呼べば聞こえは良いのだが、内実は「エロ」と呼ぶのが相応しいものであったからである。それでも時代の混沌を表徴するがごときのなんともいえない持ち味、存在感があった。

実はおいらもこの「スコラ」に関係していたことがあったのである。しがない雑誌編集者をしていたそうとう昔のことであるが、当時の「エロス」と「カオス」を象徴していたこの雑誌に一筆献上したいという思いから営業を行ったのち、幾つかの「ドキュメンタビュー」記事を掲載したのであった。「ドキュメンタビュー」とは「ドキュメント」と「インタビュー」との造語であることは云うまでも無い。その一つが井筒和幸映画監督への5ページにわたる「ドキュメンタビュー」の執筆である。このときのおいらは「二代目はクリスチャン」を撮影中であった井筒監督に会いに、京都の撮影所へと足を伸ばして数泊の取材を敢行していたのであった。

コンビニで久しぶりに開いてみた「スコラ」最終号は、おいらが若き情熱を注いで執筆していた頃とはまるで趣きが異なっていて、エロが全開となっていた。これでは「エロス」と「カオス」を求める男性人のニーズに応えることはできないのは当然である。いつからこんな詰まらない雑誌になってしまったのだろうか。とても残念である。