高円寺のせんべろ居酒屋「四文屋」で「煮豚足」を食す

中島らも氏の「せんべろ探偵が行く」という本に接してから、安くて心地よく飲んで酔っ払える店に関心が向くようになってしまった。否、そういうより元々そういう志向性が在った上にいわゆるひとつの大義名分的命題が加わってしまったため、一層関心の炎がめらめらと燃え上がってしまったということになるだろう。

本日立ち寄った高円寺の「四文屋」は、駅を降りてガード下を阿佐ヶ谷方向に歩いていくと見つかる、小さな露店のような小店舗である。もつ焼き、焼鳥がすべて100円という手頃な値段でありながら、素材の鮮度や焼き具合共にナイスなものばかり提供するので、度々足を向けている。

殊に近頃は気に入って注文するのが「煮豚足」である。豚足を大鍋に入れてぐつぐつ煮込んで調理するというシンプルな一品なのだが、火力全開にして長時間ぐつぐつ煮込まれて出されたことを強くアピールしている。出色の出来栄えであることをシンプルに主張されて、ぷりぷりっとしたゼラチン質を口に含めば自ずと頬がゆるむのである。夕方に店が開店してから煮込まれるので、あまり早い時間には食べられない。「煮豚足はあと1時間くらい経たないと出せないんですよ」と云われて、何度悔しい思いをしたことか。

もつ焼きは常時12~13種、焼鳥も4種、その他アスパラ、ししとう、椎茸などの大振りな野菜串焼きも旨い。もつの刺身も用意されている。常連客たちは「レバーを炙りで!」などと云って、半生のもつ焼きをポン酢で食べたりなどしている。地元呑んべいに愛される人気店なのである。