フランスの文化に対する考現学

代官山の「COLORS」は終わってしまったが、フランス大使館ビルのアート展示会は来年1月末まで続く。昨日は時間もなかったことで詳細やら何やらについて触れることが出来なかったので、改めてこんばんはこの稀有な展示会について紹介していきたいと思うのである。

入場料は無料である。だから少なからずに興味関心を持った人ならば絶対に訪れるべしなのである。ただし、入場の受付にて100円也のガイドブックの購入を薦められる。これは素直に購入したほうが良い。おいらもこのガイドブックの有り難味は身に染みたのだ。それからはもう見たい放題、写真に撮っても全然お構いなしなのである。おいらのように未だに実験写真に興味津々のものにとってはこれはすこぶる有難い。そのガイドブックの表紙には「創造と破壊@フランス大使館 最初で最後の一般公開」との文字が躍っている。たしかにコンセプトの意義をまんいつさせた空気が会場のあちらこちらで散見されるのである。おいらがもし仮の話でキャッチコピーを担当したとなれば、たぶんこの順序を逆にして「破壊と創造@」などというものを提示してしまったのだろう。おフランスさんの文化には、このような順序が似合わないことをここで改めて認識させられたというわけなのである。

我が国日本にとってみれば、予定調和というのが文化の基本にあるようであるが、おフランスにとってそのようなものは文化の邪道である。創造して、破壊させた物語は、決して予定調和にはそぐわないであろうが、それこそがおフランスの心意気なのかもしれないのだ。我々島国の日本国民にとって、それは重くのしかかった文化の扉を開くことの大切さを暗示してもいるのだ。日本に閉じこもっていたらば何も創造できないばかりか破壊もままならぬ。そんなこんなを感じた昨日の展示会也。

日本とフランスとその他の國の気鋭作家たちが、いわゆるレヴィストロースのブリコラージュし合う、実験場の趣である。作家たちはまるでレヴィストロースの子供たちのように振る舞っているように見えてならないのである。レヴィストロース先生は、こと文化人類学のジャンルにとどまらずに、予定調和的な近代主義に対して大いなる創造的心意気にてノンを延べつつ、未来に対して熱く語っていた。それを忘れてはいないのである。